「OKストア」はなぜ「関西スーパー」買収に動いたか 現経営陣は知らない創業者同士の深い縁

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不可解な株式交換

「当時1000円程度だった株を、倍以上で買い取るわけですから、関西スーパーも『非常に高く評価してくださってありがとうございます』と感謝していたそうです。ところが、時期を同じくして、H2O出身の取締役が関西スーパーに入ってきた。どうやら、その人物の主導で、H2Oによる経営統合案が出てきたようです」

 ただし、この経営統合案というのがわかりにくい。H2O傘下のイズミヤ、阪急オアシスの株式と関西スーパーの株式を交換することで、経営統合するというのだ。

「ご存知の通り百貨店の業績は悪く、H2Oも2期連続の大赤字という状況です。キャッシュもそれほど多くないので、関西スーパーの株式を取得するなんてことはできません。ですから、H2Oが持つ子会社スーパー2社の株を関西スーパーに持たせて、その代わりにOKが持つ関西スーパーが新株を大量に発行して過半数以上をH2Oがもらうというスキームです。ただ、この子会社スーパーのイズミヤも阪急オアシスも上場していない会社ですから、財務情報がよくわかりません。H2Oが買収したイズミヤに至っては、コロナ前までは赤字でもありました。そんな会社を与えつつ、時価のある関西スーパーの大量の新株と経営支配権を差し出せという話ですから、関西スーパーの株主にしてみれば、なぜそんなことをするのか疑問に感じるでしょう」

絵に描いた餅

 9月24日、そこで関西スーパーが発表したのが、H2Oと組めばいかに有利かというリリースだった。例えば、【当社株主の皆様が得ることとなる経済的価値】として以下のように対比して説明している。

H2O:《本経営統合後の当社株式の理論価値は、独立した第三者算定機関2社の評価によれば、(1)2,400円~3,018円、又は、(2)1,787円~3,128円とされる》

OKストア:《本非公開化取引における公開買付け等の価格は2,250円とされる》

「気合いと根性で出したリリースだと思います。まさに絵に描いた餅と言っていいでしょう。OKの1株2250円より、いかに高額にするかというだけの数字で、理論株価とはいえ根拠となる説明がまったくありません。そもそもこの経営統合が株式市場に評価されているのであれば、すでに関西スーパーの株価に反映されなくてはいけません。関西スーパーがH2Oとの統合案を表明した8月31日の終値は1538円と一時的に上がりましたが、翌日には1381円、翌々日は1374円と元に戻ってしまいました。一体いつ、リリースにある株価まで跳ね上がるのか、本当に実現するか何の保証もない話です。リリースには、イズミヤは25年3月期の営業利益が前年比3割増し、阪急オアシスは24年3月期で前年比3割増しとあります。経営統合だけで既存のスーパー2社の利益が上がるなら、なぜ今できないのか」

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