「OKストア」はなぜ「関西スーパー」買収に動いたか 現経営陣は知らない創業者同士の深い縁

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OKをディスる

 かの大塚久美子氏もビックリの、根拠なき数字のようだ。ちなみにOK側の提示した2250円という株価は、92年2月の上場以来の最高値になるという。

「もちろん関西スーパー側も、こんな数字で納得させることはできないとわかっていると思います。でも彼らの株主構成は、基本的に取引先の法人株主と3割くらいの個人株主で、うるさ型の機関投資家は非常に少ないんです。ですから、機関投資家の支持はいらないから、取引先には泣いてもらって、個人株主は煙に巻いてしまえばいいという発想なのではないかと考えてしまいます」

 このリリースでは、OKをディスってもいるのだとか。

「《オーケーは、量販型ディスカウントストア》と定義しているのですが、関東のOKユーザーが見たら笑い出すかもしれません。複数の流通ジャーナリストも、SNSで疑問を投げかけたほどです。確かにOKの商品は安いですが、別にドン・キホーテのように陳列しているわけでもなく、見た目も普通のスーパーです。私は関西スーパーにもイズミヤ、オアシスにも行ってみましたが、OKと商品は変わりませんでしたよ。リリースにある《客層が違う》などという発想は、同じスーパーマーケットの発想ではなく、業績が悪いのにプライドだけ高い百貨店の考え方がにじんでいます」

 もちろんOKストアには独自性がある。

冷えてない飲料

「OKに冷えたジュースやビールは売っていませんが、それは価格を抑えるためですからね。通常のスーパーでは、冷えたジュースも冷えてないものも、同じ価格で販売されていますが、それは冷蔵庫の代金や設置面積、電気代も、冷えてないジュースにコスト負担されているということです。ユーザーも同じ商品が安く買えるということで、遠方からも買い物に来ています。だから店舗当たりの売上も高いし、10年連続で顧客満足度ナンバー1のスーパーにもなっているわけです。一方のH2Oグループの2社は顧客満足度調査の対象にすらなっていません」

 OKストアで商品棚に掲げる「オネスト(正直)カード」が正直すぎると話題になることもある。例えば、不漁で小ぶりなサンマについたオネストカードには、《不漁のため小ぶりで脂ものっていません。美味しいとは言えませんが、旬の味ということで販売しております》などと書いてあることも……。

「関西の人だって面白がると思いますよ。結局、百貨店の経営者はスーパーマーケットなど馬鹿にしているのかもしれません。それはスーパーのお客さんを見下していることに繋がります。関西人はOKストアなど知らないだろうと、印象操作を計ったのかもしれません」

 OKストア側も不審に思ったのだろう。9月28日、関西スーパーに対して質問状を送付した。

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