総裁交代後も自民党は変わらない? 総裁選で見えた党内の「メタ野党」とは

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自民党内の「メタ野党」

 今回の総裁選を通して見えたのは、自民党がその内部に野党を抱えているという、メタ的な構造です。そして、自民党の中で政権交代のようなものが起こるかもしれない、という期待感を多くの人が抱いたのだと思います。野党にとっては、安倍一強の清和会支配が続いていた方が戦いやすかったのは間違いありません。しかし、自民党内の「メタ野党」の存在をここまでハッキリと見せつけられると、野党の支持率は伸びようがない。特に野田聖子さんが出て立憲民主党と近似する政策論争をやったのは大きかったでしょう。

 ただ、本来の政権交代とは、前政権を否定するものですが、自民党内における「党内交代」では、前政権の完全否定まではできません。自民党政権が続く以上、構造的に前政権の完全否定ができないのは当然のことです。

 総裁が決まった瞬間には、まるで政権交代が起こったかのような錯覚を覚えるかもしれません。が、総選挙が行われる頃にはやはり、これまでの路線を大きくは修正できない、という現実が見えてくるでしょう。

週刊新潮 2021年10月7日号掲載

特集「謀略の人間喜劇 『河野太郎』『岸田文雄』を踊らせた『安倍前総理』」より

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