日米156勝「前田健太」に試練…投手に厳しすぎる名球会200勝の“分厚い壁”

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肩や首の故障に悩まされて

 野球シーズンも終盤戦に差し掛かってきたが、ここへ来て心配なニュースが飛び込んできた。9月1日(日本時間2日)、右前腕の張りから故障者リスト入りしていた前田健太(ツインズ)が、トミー・ジョン手術を受けたと発表されたのだ。リハビリには、約1年かかると見られており、本格的な復帰は2023年シーズンというのが現実的だ。前田は現在33歳で、ここまで日米通算156勝をマークしているが、目標とする日米通算200勝に向けて、今回の故障が大きな試練となりそうだ。

 前田以外にも、名球会入りの基準となる「通算200勝」を前にして、故障に苦しんでいる例は少なくない。

 メジャーでもエース格として活躍していた岩隈久志(元近鉄など)は、2016年までに日米通算170勝をマークしていたが、翌年に右肩を故障。19年に巨人で日本球界に復帰したが、一軍のマウンドに上がることはできず、昨シーズン限りで引退した。

「平成の怪物」と呼ばれた松坂大輔は、西武で三年連続最多勝のタイトルを獲得して、メジャーリーグに移籍。その後、日本球界に復帰。ソフトバンクを経て、18年には中日へ移籍し、6勝をあげてカムバック賞を受賞した。昨季は古巣西武に復帰したものの、肩や首の故障に悩まされ、今季限りの引退を発表している。勝利数は、岩隈と同じ日米通算170勝だ。

田中でさえ余裕をもって達成できない

 一方、15年にトミー・ジョン手術を受けた、ダルビッシュ有(パドレス)は、昨年最多勝をマークし、完全復活を果たしたように見えた。しかし、今年は8月に腰の張りで故障者リスト入り。もうひとつ調子が上がらず、成績を落としている。日米通算勝利数は岩隈と松坂をすでに上回っているが、200勝までは決して簡単な道のりではない。

 そして、現役で最も200勝に近い投手は、今季から日本球界に復帰した田中将大(楽天)である。現時点(9月7日試合終了時)で日米通算勝利数は181勝。今年で33歳という年齢を考えると、200勝達成の可能性は高い。ただし、今季のピッチングを見ると、やはり、ピークは過ぎた印象は否めない。ルーキーイヤーから二桁勝利をマークし、13年には24勝という現代野球では、考えられないような勝利数を記録した田中でさえ、余裕を持って達成できないところに、200勝のハードルの高さがよく表れている。

 名球会の資格をみると、投手が200勝、250セーブ、野手が2000本安打(日米通算含む)。2000年以降に投手で名球会入りしたのは7人。それに対して、野手は32人と大きな差が出ている。

 ちなみに、投手の7人のうち、200勝達成者は4人で、2010年以降の達成者は黒田博樹(元広島)のみだ。名球会は、NPBとは基本的に無関係の組織だが、この現状を見ると“基準の見直し”は必要ではないだろうか。

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