事件現場清掃人は見た 遺体が放置された部屋はどんな細菌が繫殖しているかわからない

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股間が痛痒い

 特殊清掃では、病死した人の死因を特定するのは困難という。

「私たちには、依頼主から『心不全』『腎不全』と説明があるだけですからね。肝炎や結核、HIV(エイズ)のような感染症だった場合、ご遺体の血液や体液に触れる私たちに感染しないという保証はどこにもありません」

 感染を防ぐために、防毒マスクとゴーグル、ゴム手袋は欠かせない。

「それに、全身を覆うカッパも必需品です。靴はビニールのカバーで覆います。何時間も作業をしていると、途中で喉が渇いたり、トイレに行きたくなったりしますが、その時は手袋とカッパ、靴のビニールカバーを脱いでゴミ袋に入れて用を足し、作業を始める時は新しいものを身につけます。手袋やカッパ、ビニールカバーは常に3、4セット用意しています」

 ところが、ここまで感染対策を行っても、体に異変が起こったことが何度もあるという。

「私自身結膜炎になったり、扁桃腺が腫れて高熱がでたりすることがありました。中でも辛いのが、股間が痛痒くなることです。トイレで用を足す際に念入りに手を洗っても、股間に細菌が付着してしまうのかもしれません。また、年に数回体調が悪くなるのですが、細菌のせいだと思っています」

 特殊清掃の現場は、常に危険と隣り合わせというわけである。

デイリー新潮取材班

2021年8月27日掲載

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