「長崎カジノ」運営事業者審査 落選2社が“出来レース”と県を批判 「中国資本」がネック?

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2次審査で起きた「大逆転」

 両社は審査のどこに問題があると訴えているのか。実は、2次審査では“大逆転”が起きていた。

 1次審査で最高得点を出したのはニキで182・9点。次いでオシドリが154・0点、カジノ・オーストリアはかなり点差が開いて94・7点だった。だが、2次審査の結果は、カジノ・オーストリアが697・0点、オシドリが682・8点、ニキが667・1点。一気に差が縮まったばかりか、最下位だったカジノ・オーストリアが僅差で二社を破ったのである。

 オシドリに見解を求めると文書で、にわかに信じがたい回答をしてきた。最終プレゼンの直前、県から公募から降りるよう“脅迫”されたというのだ。

〈(長崎県は)根拠として到底認められないレベルの背面調査資料(香港の一投資家の個人ブログの記事が主たる情報源)をもとに、プレゼンテーションの前にRFPへの辞退を迫ってきました。これは、私共の提案が優先交渉事業者(註:カジノ・オーストリア)のものよりも優れていたにも関わらず、なんらかの理由で優先交渉事業者の案にしたかったと思われても仕方がないのではないでしょうか〉

〈弊社の顧問弁護士が同席していた、7月12日午後4時からの会議と7月27日午後4時からのテレビ会議で、2回圧力をかけられています。テレビ会議に出席したのは、長崎県IR推進課の3人のキーパーソンであるA氏、B氏、C氏の3名です(註:回答文の中では本名)。彼らは、審査員の前でプレゼンをする前にオシドリが辞退しなければ、捏造された背面調査を公表すると我々を脅迫してきました〉

「繰り返し辞退を迫られた」

 ニキも同様に、2次選考前に辞退を迫られたと訴える。こちらは、担当者が直接取材に応じた。

「1次審査を終えた後、5月に県から『廉潔性の調査費用』として求められた1100万円を支払った後のことでした。万全の準備で最終審査に臨むつもりで準備を進めていると、7月9日に急に県から連絡があり、『オペレーター(カジノ運営をする事業者)の廉潔性に問題があり、認定できません』と言われたのです」

 IR事業は代表企業のもと、コンソーシアムを結成して行われる。中心となるのは、カジノ運営を行うオペレーターと呼ばれる事業者だ。

 ニキグループのオペレーターは、香港に拠点を置くメルコリゾーツ&エンターテインメント。マカオやフィリピンにIRを展開するメルコは、横浜カジノにも大成建設を組んで名乗りを上げるなど、かねてから日本のIR参入を希望してきた事業者である。ニキの担当者は、「守秘義務があるので、こちらからオペレーター名を明かすことはできない」と断ったうえでこう続ける。

「私たちと組んだオペーレーターは、ヨーロッパで厳しい審査を通ってカジノライセンスを取得している実績ある企業です。私たちは、指摘はあたらないとした回答文書を提出するとともに、直接説明にも上がりました。しかし、県はどこに問題があるのか具体的に明示しないまま、噂話のような類の話を根拠にダメ出しをし続け、繰り返し辞退を迫ったのです。”このままプレゼンに進むなら調査結果を公表する”とも脅された。納得いかないまま最終プレゼンに臨みましたが、結果はご覧の通りです。審査の項目に『廉潔性』の項目などありません。初めからカジノ・オーストリアありきの選考だったのです」

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