事件現場清掃人は見た 20年前の初仕事はたった15分で終了、逃げ出したも同然だった

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吐き気を覚えた

「男性が倒れていた和室に近づくほど増してくる強烈な死臭に、気分が悪くなり、吐き気を覚えずにいられませんでした」

 部屋は、社長が言った通りすでに遺品が整理され、畳も撤去されていた。

「ただ、周囲を見回すと、亡くなった男性が倒れるときに頭を強くぶつけたらしく、壁にはかなりの血痕と毛髪が残っていました」

 高江洲氏は恐る恐る、消毒作業を始めた。

「なるべく血痕を見ないように、用意した消毒剤をスプレーで吹き付けていきました。部屋の隅々まで薬剤を吹きつけ、消毒は完了しました。要した時間はたったの15分ほどでした」

 もっとも、一刻も早くこの現場から逃れたい一心で、臭いが完全に除去されたか確認もせずにそそくさと部屋を後にしたという。

「まったく情けなくなるような仕事ぶりです。当時は、死臭を消すノウハウもありませんでした。臭いも残ったままだったと思います。これでは特殊清掃とは言えません。今から思えば、本当に恥ずかしい話です」

デイリー新潮取材班

2021年8月16日掲載

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