U-24「NZ戦」は90分で決めるべき試合 川口能活GKコーチのアドバイスがGKを救った

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厄介な相手に勝利

 17時キックオフのスペイン対コートジボワール戦が延長戦に入ったことで、日本はどんな形でもいいから90分で決着をつければアドバンテージになると思った。17時からの試合であれば体力の消耗は激しいだろうし、それが延長になればなおさらだ。

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 しかし、そんな願いも虚しく、日本対ニュージーランド戦もスコアレスドローで延長戦に突入し、さらにはPK戦までもつれた。

 PK戦が決まった瞬間、嫌な思い出が頭をよぎった。00年シドニー五輪の準々決勝、アメリカ戦だ。2-2で突入したPK戦で、中田英寿のシュートは左ポストを直撃して乾いた音を立てた。PK戦4-5で日本は敗退した。

 ニュージーランドとのPK戦、日本は立候補した選手がキッカーを務めた。上田綺世(22)が右下に決めると、板倉滉(24)と中山雄太(24)はGKの逆を突いて左下に決める。

 ニュージーランドは2人目のリベラト・カカーチェ(20)のシュートがGK谷晃生(20)にストップされると、3人目のクレイトン・ルイス(24)もプレッシャーからかシュートを右上に外した。

 PK戦に突入する前、GK谷は川口能活GKコーチ(45)から入念な指示を受けた。ところが谷は「相手キッカーの情報を紙で見ていたけど、覚えきれない」と告白。そこで川口からは「自分の思ったプレーをしてこい」と言われたそうだ。

 川口と言えば、日本代表の守護神として数々のビッグセーブでピンチを防いできた。

専守防衛のNZ

 04年に中国で開催されたアジアカップの準々決勝ヨルダン戦では、1人目の中村俊輔と2人目の三都主アレサンドロが失敗して0-3の状況から、4人目と5人目のシュートを連続してストップ。サドンデスに持ち込み、トータル4-3で死闘を制し、2大会連続3度目の優勝に貢献した。

 対戦相手の情報収集と分析は日本が得意とするところだが、もしかしたら現役時代の川口も、最後は「自分の思ったプレー」で日本を救ってきたのかもしれない。

 PK戦では4人目のキッカーに吉田麻也(32)が登場したのは意外だった。てっきり森保一監督(52)は、勝っても負けても悔いのないようU-24世代の選手に命運を託したと思ったからだ。

 そして吉田は、GKと駆け引きすることなく自分のタイミングであっさりとシュートを左下に流し込み、日本のベスト4進出を決めた。

 試合に関して言えば、日本は自ら難しい試合にしてしまった。ニュージーランドは5BKでゴール前を固め、その前に3人のMFを並べる専守防衛だ。前線には2人のFWを残すカウンター狙い。

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