「侍ジャパン」金メダルへ不安要素も…4番「鈴木誠也」が打てず、中継ぎ陣が不調

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最も心配なのは柳田

△:平良海馬(西武)、栗林良吏(広島)、浅村栄斗(楽天)、柳田悠岐(ソフトバンク)、菊池涼介(広島)

 投手陣で不安を残したのが、セットアッパーの平良とクローザーの栗林だ。平良はドミニカ戦の走者を背負った場面で登板して、無失点で切り抜けたが、メキシコ戦では四球からの被弾で2失点。栗林もドミニカ戦では1点ビハインドで登板し、追加点を許している。早い段階で悪い部分が出たとも考えられるものの、1点のリードで終盤を迎えるのは正直、不安が残る内容だった。

 野手では浅村、柳田、菊池の3人が可もなく不可もなくという印象だ。浅村は慣れないファーストをこなし、菊池は守備でさすがというプレーを見せているが、打撃に関しては二人ともやや淡白な内容が多かった。最も心配なのが柳田だ。ドミニカ戦では長打が出るも、メキシコ戦では4打席とも内容が悪かった。この3人が並ぶ打順となっているだけに、もう少し繋がりが出てきてほしいところだ。

ボールの勢いを感じられない青柳

×:青柳晃洋(阪神)、鈴木誠也(広島)

 投手で最も心配なのが、ドミニカ戦で2番手に登板して先制点を許した青柳だ。左打者が多い場面で起用した采配面にも疑問は残るが、慣れないリリーフということもあってか、シーズン中のようなボールの勢いが感じられなかった、過去の国際大会では渡辺俊介(元ロッテ)、牧田和久(楽天)、高橋礼(ソフトバンク)といったアンダースローの変則タイプの活躍が目立っただけに、青柳への期待も大きいとはいえ、次の起用はかなり勇気がいることは間違いない。

 野手では、4番の鈴木がスタメンで唯一のノーヒットに終わった。積極的にバットを振る姿勢は徐々に出てきているが、力みが目立ち持ち味であるコンタクト力の高さを発揮することができていない。ライトの守備力も貴重だけに、スタメンから外すことは考えづらいが、次の試合でもノーヒットに終わるようであれば、打順の変更を検討すべきだろう。

 投手陣はリリーフに少し不安が残ったが、山本、森下と先発の2人がしっかりと試合を作れたことは何よりも大きい。野手も鈴木以外にはヒットが出ており、メキシコ戦では足を使った攻撃が出たこともプラス材料だ。ただ、決勝トーナメントは短期決戦だけに、少しの判断の遅れが致命傷になることも十分に考えられる。そういう意味でも好調な選手を見極めて、思い切った起用をすることができるかが金メダル獲得へのカギとなるだろう。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年8月1日掲載

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