高校野球で理不尽な出場辞退が続出 「東京五輪は濃厚接触者でも出場できるのに」

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“学校関係者一人”がコロナに感染したというだけで高校野球鳥取大会の出場辞退を余儀なくされた優勝候補、米子松蔭に対して同情の声が噴出。一転して出場が認められたことがニュースになった。

 鳥取だけではない。いま全国でコロナの“幻影”が猛威を振るっている。

 春夏計39回甲子園出場の強豪で、今春の県大会で準優勝した福井商が、野球部員を含む複数生徒の感染が確認されたとして福井大会出場を辞退。新潟でも、夏の甲子園出場11回を誇り、昨夏の県大会も優勝した中越が、部員2名の感染で出場を辞退した。

「東京五輪は、濃厚接触者ですら条件を満たせば大会出場が許されるのに……」

 とスポーツライターが首をひねる。

 不可解な辞退もあった。上田利治らプロ野球選手が輩出した徳島の古豪、海部(旧海南)である。

「7月15日の試合当日朝に県高野連に出場辞退を通告。理由は“臨時休校中のため”で、休校の理由も“校内の事情”というあやふやな説明だったんです」

 時節柄、コロナ感染が疑われたわけだが、案の定、翌16日になって校内で生徒5人が感染するクラスター発生を発表した。愛媛の松山工も当初“感染拡大防止の観点”という曖昧な理由で出場を辞退し、後日、感染者が出ていたことが明らかになっている。これらの地域ではいまだにコロナ感染者を忌むべき者として隠蔽する風習でもあるのか。

 神奈川では、鳥取以上に理不尽なことが起きている。

 共に県立高校の城郷と藤沢工科が出場を辞退した理由は、“感染状況悪化を受け、全部活動が対外活動禁止となったため”。野球を例外扱いできないのだとか。

「たしかに野球だけを許可する道理はありませんが、そもそも“全部活動禁止”というのが過剰反応ではないでしょうか」

 大人たちの“思考停止”はウイルスよりタチが悪い。

週刊新潮 2021年7月29日号掲載

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