なでしこは当然の敗北 疑問の多い高倉采配 次は“ハンス・オフト”が必要な理由

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スウェーデンに完敗

 グループリーグ最終戦のチリとの試合では、彼女たちの善戦に「FIFAランクは当てにならない」と書いた。

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 しかし準々決勝の結果、その言葉は訂正したい。「ランク通りの結果になった」と。

 10位の日本は5位のスウェーデンに1-3と完敗したが、他の3試合はいずれも拮抗した。

 6位イギリス対9位オーストラリア戦は延長戦の末にオーストラリアが4-3で逃げ切り、1位アメリカ対4位オランダ戦と8位カナダ対7位ブラジルの試合はいずれもPK戦にもつれ、アメリカとカナダがベスト4に進出した。

 そして日本である。長らく“なでしこジャパン”を牽引してきた岩渕真奈(28)は、試合後のフラッシュインタビューで「内容どうこうより結果がすべてなので」と敗戦を受け入れつつ、「やれることはやったかな」と正直な感想を漏らした。

 彼女の言うとおり、スウェーデン戦は今大会の日本にとってベストゲームだった。タテパスやサイドからのクロスに対しては、オフサイドトラップが有効な対処方法だが、スウェーデンはオンサイドの位置から右MFソフィア・ヤコブソン(31)やSBハンナ・グラス(28)が飛び出してくる。

 そこで日本はオフサイドトラップを仕掛けるのではなく、ラインコントロールでスウェーデンの選手を牽制した。CKからの連続プレーで高さにやられた1点目は仕方がない。悔やまれるのは後半8分の失点で、巧妙に背後を突かれて致命的なゴールを許した。

選手交代に疑問

 VARによるPKかどうかは今さら議論しても始まらない。あえて日本の光明を探すなら、同点ゴールにつながった清水梨紗(25)のプレーだ。ワンタッチで長谷川唯(24)につなぎ、長谷川もワンタッチでGKとDFラインの間にクロスを入れた。

 強豪スウェーデンといえどもワンタッチプレーの連続に、ゴール前には1人しかDFがいなかった。ワンタッチのプレーなら、体格差はさほど関係ない(DFをブロックするなら、屈強なフィジカルの方が有利だが)。このため日本には、もっとワンタッチプレーを磨いて欲しかった。

 ただし、高倉麻子監督(53)の采配には疑問を感じた。

 スウェーデン・リーグでプレーし、シュート力にパンチもあり、攻守に豊富な運動量を誇る林穂之香(23)をスタメンで使わず、残り4分で投入したこと。攻撃のアクセントになっていた長谷川を下げ、代わりに北村菜々美(21)を入れたこと。そして数少ないスピードで勝負できる選手である塩越柚歩(23)を最後までベンチに置いたままだったことだ。交代枠はまだ2人余っていたし、選手交代のタイミングも遅すぎた。

 高倉が「なでしこジャパン」の監督に就任したのは2016年のこと。その前年の15年8月に中国・武漢で開催されたEAFF東アジアカップで、佐々木則夫監督(63)率いる日本は北朝鮮と韓国に敗れ3位に終わった。

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