東京五輪で史上初の金メダルは“達成しうる目標” 男子400メートル「リレー侍」の勝算は?

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2年前の悪夢

 記者が続ける。

「3走の小池は200メートルの代表にも選ばれたくらいですから、コーナリングのうまさに定評があります。最後の4走で求められるのは、変な言い方になりますが、ちゃんとバトンをもらってまっすぐ走る! これに尽きます」

 桐生はコーナリングもうまく3走でも問題ないが、痛めているアキレス腱が回復しない場合はデーデーが浮上することになるという。デーデーのリレーでの経験値を踏まえれば“ちゃんとバトンをもらってまっすぐ走る”4走が現実的だろう。となると多田、山縣、小池を固定しておく方がリスクは少ないというわけだ。

「バトンをもらってまっすぐ走ると先ほど言ったのは今となっては笑い話なのですが、陸上短距離関係者の間で忘れたい思い出として共有されているのが、2019年5月に横浜で行われた『世界リレー』での失格です」

 その時の走順は多田、山縣、小池、そして桐生。3走から4走、つまり小池から桐生へのバトンミスでまさかの予選落ちを喫した。小池の手を離れたバトンが一瞬宙を舞うシーンはYouTubeなどで確認できる。もちろんそういう失敗の経験があり、その教訓に学べているのなら、むしろ期待できると言えるかもしれない。

「そうですね、全く同じ走順だとそういう報道も増えて意識する選手も出てくるかもしれませんが、彼らも2年経って成長しているでしょう。日本の陸上短距離界を8年にわたってリードし続けた桐生がトップで、しかも東京でゴールを駆け抜けるのは象徴的な感じがしますし、そう期待している関係者も少なくないと思います。五輪強化コーチの土江寛裕さんは東洋大で桐生を9秒台に育て上げた人物ですから、そういった思いは強いはず。桐生自身、日本選手権時には足を引きずっていましたが、その後は十分な休養を取り、8日からの代表合宿に参加予定です」

デイリー新潮取材班

2021年7月9日掲載

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