東京五輪で史上初の金メダルは“達成しうる目標” 男子400メートル「リレー侍」の勝算は?

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世界1位のガトリンは落選

 8日から五輪直前合宿が始まり、リレー侍こと男子400メートル・リレーのメンバー構成が見えてきた。日本陸連が目標に掲げるのは金メダル。前回リオで獲得した銀メダルを超えることができるか。メンバー構成や走順などについて展望する。

 まず、リレーメンバーの候補については、100メートル代表の多田修平(25=住友電工)と山縣亮太(29=セイコー)、そして小池祐貴(26=住友電工)に加えて、200メートル代表のサニブラウン・アブデルハキーム(22=タンブルウィードTC)、山下潤(23=ANA)、飯塚翔太(30=ミズノ)、そしてリレー専門代表の桐生祥秀(25=日本生命)とデーデー・ブルーノ(21=東海大)の8名となっている。

「日本陸連は400メートル・リレーでの金メダル獲得を“達成し得る目標”としており、そのために何をどうすべきかを考えてきました。その結果、1人の選手が100と200の両種目を掛け持ちするのはリスクが高いと見て、リレーに出場する選手には個人種目を一つに絞るように打診していました」

 と、五輪を取材する記者。小池は100と200両方に出場資格を持っていたが、陸連の方針に従って、100メートルを選択した。では実際、金獲得の可能性はどれくらいあるのだろうか?

「前回のリオ五輪100メートルで、金・銀だったジャマイカのウサイン・ボルトとアメリカのジャスティン・ガトリンが不在です。ボルトは引退、ガトリンはワールドランキング1位の選手でしたが、国内の選考会ではまさかの8位で落選。結構な衝撃が走りました。余談ですが、彼は筋肉増強剤の使用で2回“アウト”になっていて、走るたびにブーイングになってしまいます(笑)」

9秒77を筆頭に精鋭が

 金を争うのはジャマイカ、アメリカ、カナダ、イギリスといった国々で、そのうちのアメリカに関しては、2019年世界陸上王者のクリスチャン・コールマンも落選。米国の切り札2人がいないのは、日本にとって僥倖と言えるかもしれないが、

「いやいや、ベストタイム9秒77のトレイボン・ブロメルを筆頭に、9秒85の自己新を選考会で出したロニー・ベイカー、9秒86をマークしたフレッド・カーリーと精鋭が続いており、単純にベストタイムだけ足し算すると残念ながら歯が立ちません」

 とはいえ、日本も手をこまねいているわけではない。得意のバトンパスでそのタイム差を詰めようとしているわけだ。読売新聞(7月1日付)を見てみると、

<「37秒10」。東京五輪で日本陸連が金メダルラインとみるタイムだ。19年世界選手権を制した米国の記録で、土江寛裕・五輪強化コーチは「このタイムを出して勝てなかったら仕方ない」と語る。日本チームはリオ五輪で37秒60、3位だった19年世界選手権でアジア新の37秒43。37秒10には大幅な更新が必要だが、個々の向上を見ると期待はふくらむ>

 とある。その「37秒10」への道を先の記者に解説してもらうと、

「正直、実現は難しそうなタイムですが、可能性はゼロではありません。それくらいコーチも前のめりになっているということでしょう。走るメンバー、順番はカチッと規定があるわけではないのでかなり流動的ですが、順当に行けば、多田、山縣、小池、そして桐生になると見ています。サニブラウンは8日からの事前合宿に参加しない方針で、肝心なバトンパスの練習ができないので候補外と見るのが自然です」

 第1走の多田はスタートの反応が良く、その後すぐの左カーブにも自信を持っており、2017、19年の世界選手権で銅メダルを獲得した際も第1走だった。第2走はエース区間。チームトップの記録を持つ山縣で決まりだという。

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