ノーベル賞研究から生まれた抗老化サプリ「ウロリチン」 オートファジーの活性化がカギ

ライフ 週刊新潮 2021年7月1日号掲載

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 長らくステイホームを強いられ、思う存分に体を動かすことができず、ストレスは溜まるばかり。コロナ禍では、普通に健康的な生活を送ることすら容易ではない。このままでは、心も体も老いていくばかり……。「抗老化サプリ」の最新情報を紹介。

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 デイリー新潮は、6月29日に配信した記事「世界が注目する日本発「抗老化サプリ」 「NMN」「5-ALA」の驚きの効果とは」で「NMN」と「5-ALA」という抗老化の効果があるという二つの成分を含んだ国産サプリを紹介した。そのおさらいは後にすることにして、今回はまず、最新の国産若返りサプリ情報をお届けする。キーワードのひとつは「ノーベル賞」だ。

「細胞の中のいろいろなものを回収して分解し、リサイクルする機能、言ってみれば細胞内の新陳代謝機能を『オートファジー』と言います」

 こう解説するのは、これから紹介する「抗老化サプリ」につながる解析を行った大阪大学栄誉教授の吉森保氏だ。細胞内物流システム研究の権威である吉森氏が続ける。

「例えば自動車なら、10年も経てば新車も自然と中古車となり、さまざまなところにガタがきたり、故障したりしますよね。しかし、毎日、部品を少しずつ交換して時間をかければ新車同様の状態に戻ります。細胞は日々、この部品交換と同じことを行っていて、毎日、タンパク質という部品を新しく作り、入れ替えているのです。そうやって新車の状態、恒常性(ホメオスタシス)を維持しているのですが、これが止まってしまうと中古車の状態、つまり病気になったり、死に至る。簡単に言うと、オートファジーはこの部品の入れ替え、細胞の若返りを担っているのです」

 したがって、このオートファジーを活性化させることが抗老化の大事なポイントになるわけで、当然、世界中の科学者がオートファジーに注目している。

「マウスでは毛が黒々と」

 そんな中で、我が日本には誇るべき研究成果がある。2016年10月、分子レベルでオートファジーの仕組みを解明したとして、東京工業大学栄誉教授の大隅良典氏がノーベル生理学・医学賞を受賞しているのだ。

 1996年、その大隅氏が国立基礎生物学研究所の教授になった際、助教授として招かれたのが吉森氏だった。大隅氏の研究対象が酵母におけるオートファジーであったのに対し、将来的なヒトへの研究応用に対応するため、哺乳類の細胞の研究を専門としていた吉森氏に声が掛かったのだ。

 大隅氏のノーベル賞の授賞式には吉森氏も招待されている。また、メディアからは吉森氏が共同受賞してもおかしくなかったとの声も上がった。

 つまり吉森氏は「陰のノーベル賞受賞者」であり、そんな彼がオートファジーへの効果を検証した「ある食品成分」が入った抗老化サプリができたというのだから、若返りを求めて止まない紳士淑女の期待が高まったとしても無理はなかろう。

 吉森氏の話にさらに耳を傾けてみる。

「細胞の若返りを担うオートファジーをいかに保つか。これが健康寿命を延ばすことにおいて重要な課題ですが、2009年に我々が発見したルビコンというタンパク質が、オートファジーを妨げるブレーキ役であることが分かっています。このルビコンは、加齢によって増え、生殖年齢を終えた頃から急増します。線虫での実験では誕生から7日目、人間に換算するとおよそ50歳で急増しました。また、ルビコンを除去した線虫を作ると、ルビコンがある線虫に比べ寿命が1・2倍に延びました」

 若返りの鍵を握るルビコン。残念ながらルビコンについては未だ解明されていない点が多いというが、いずれにしてもオートファジーを活性化させることが抗老化につながるのは間違いない。

 そこで着目されたのがウロリチンである。ザクロの主要ポリフェノールであるエラグ酸が腸内で代謝されてできる食品成分だ。古来、ザクロはクレオパトラや楊貴妃が食し、「女性の果実」と呼ばれ美容健康に効果のある植物とされてきたが、

「培養したヒトの細胞にウロリチンを投与したところ、オートファジーの促進効果が確認されました。抗がん治療などでの臨床試験が進んでいるトリンというオートファジーを活性化させる薬があるのですが、ウロリチンにはそれに匹敵する効果があったのです。ウロリチンは食品成分ですから、薬ほど厳しい臨床試験を要しない点がひとつの特徴と言えるでしょう。またウロリチンは、長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)を活性化させることも分かっています」(同)

 吉森氏とともに解析に携わった、九州大学大学院農学研究院教授の片倉喜範氏が後を受ける。

「従来、長寿遺伝子のひとつである『SIRT1』を活性化させるとされてきたレスベラトロール(ポリフェノールの一種)と比べても、ウロリチンには同等以上のSIRT1の活性化効果が確認されました」

 直接的にウロリチンがルビコンを減らしたのかどうかは不明だというが、いずれにせよ、抗老化のポイントであるオートファジーと長寿遺伝子の双方に、良い働き掛けをすることが明らかになったというのである。

 そして、吉森氏らが効果を確認したウロリチンを使ったサプリ、「ウロリチンカプセル」が、6月17日に発売開始されたばかりなのだ。ちなみに値段は60粒入り(30日分)で6645円。

「オートファジーは皮膚にも大きな影響を与えます。オートファジーを活性化させる薬剤を、培養した日本人の皮膚にかけると、メラノソーム(細胞小器官)が分解され、皮膚が白くなりました」(吉森氏)

 高まる美白への期待。さらには、

「剃毛したマウスに、12日間、ウロリチンを塗布したものとそうでないものを比較する実験を行ったところ、前者のほうが毛が黒々と生え、毛量も多い結果となりました。西アジアの人は薄毛が少なく、髭(ひげ)も濃いと言われますが、それはザクロ(ウロリチン)をよく食べることと関係しているのかもしれません。今後、上手くいけばウロリチンを使った効果の高い育毛剤ができるかもしれません」(片倉氏)

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