ペットロスを癒す「クローンワンコ」 本物と瓜二つに作る驚きの技術、そして値段は?

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気配があるという感じ

 依頼主の完成したクローンワンコに対する満足度は一様に高い。依頼者の反応を高橋氏に尋ねた。

「完成品と対面した時には、感極まって泣き出される方もいました。生きていた当時の記憶が蘇ったんだと思います。逆に、“あのコが戻ってきた!”と、笑顔で喜ばれる方もいます」

 愛犬の姿をしたクローンワンコたちは、アクリルケースに入れて飾られるようなことはなく、お気に入りだったソファーなどいつもいた場所に置かれているようだ。

「皆さん、一緒の空間にいて、そのコの存在を感じていたいようです。例えば、家事をしているときに、何となくあの辺にいるなというような。見ていなくても気配があるという感じが大事みたいですね」(同)

 最愛の愛犬が再び実体化するというのは、ペットロス経験者としてはうらやましい限りだ。とはいうものの、やはり安くはない。ここまで本物そっくりでなくても、技術とノウハウを生かした廉価版を作ったら相当需要もあると思うが……。

「多くの方へご提供するために低価格化しようと、本物そっくりのヌイグルミ的なのも考えてはいたのですが、それは他でもできるでしょう。やはり“クローン”とうたっても差し支えない、ウチでしかできない本物同様のクオリティーを選択しました。今後、価格を抑えてまで受注を増やす予定はありません。似ていないものを作っても意味がないし、クオリティーを損なえば信用は一瞬で失われてしまう。クリエイティブを売りにする会社としてそれはありえない、と考えています」(岡部氏)

 現在飼っている愛犬が最後と考えている人は、ペットロスに備えて今から貯金をしてみてはどうだろうか。

小川美佳(おがわ・みか)
千葉県出身。文化、医療、健康、グルメ、街ネタ等幅広く取材する雑食系ライター。医師やアーティスト、アイドル、学芸員、飲食店店主、高校生等、インタビューした数は1,000名以上におよぶ。どのジャンルにおいても、正確な情報を分かりやすく伝えることをモットーとしている。

デイリー新潮取材班編集

2021年6月9日掲載

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