大卒なのに高卒と偽り…15年間で学歴詐称が発覚した神戸市職員は50人 就職氷河期が影響

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 5月31日、神戸市は4年生大学を卒業したのに、高校卒と偽って採用された水道局の男性職員(44)を懲戒免職処分にした。男性は2000年の職員採用試験を受験。当時すでに24歳だったが、面接試験では高卒後企業に就職したと説明したという。

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 通常、学歴詐称と言えば、卒業もしていないのに有名大学の学位を履歴に入れることを連想するが、今回はその逆である。大学を卒業しているのに、高卒と偽って採用試験を受けたのだ。なぜ、こんなことをしたのか。

「懲戒免職となった男性は、大卒の採用試験は難しいと思ったようです」

 と解説するのは、神戸市水道局の担当者。

「高卒の試験は、一般教養、体力検査、作文、面接、身体検査となっています。それに対して、大卒の試験には、基礎的能力試験として文章理解、判断推理、資料解釈、社会事情などがあり、さらに専門分野として憲法、民法、行政法、政治学、行政学、経済学などの中から選択することになっています。かなりの専門知識が問われます」

2006年調査でも虚偽申告

 ちなみに、2000年度の試験では、高卒は948人応募があって、合格者は11人。大卒は、1430人の応募で、合格者は51人だった。

「男性は、試験を受けた時は24歳でした。面接では、高校卒業後の経歴を確認しますが、一般企業に就職したと言っていました。実際は、1995年4月に4年生大学に入学、99年3月に卒業しています。結局、2001年4月から職員として約20年間勤務、勤務態度は特に問題なかったそうです」(同)

 実を言うと、これまでも自治体の採用試験を巡って、学歴詐称がたびたび問題になっている。

「2004年度に青森市で3人、2005年度には尼崎市で1人の学歴詐称が発覚しています。そして2006年4月、神戸市教育委員会に匿名の通報があり、小学校の女性調理師が短大卒であったのに、高卒と偽って採用されていたことが発覚しました」(同)

 この女性調理師は同年6月、諭旨免職(履歴上は自己都合退職)になった。これをきっかけに、神戸市では学歴詐称の調査を始めた。

「その時、自ら学歴詐称を申し出れば、退職金の出る諭旨免職とする。それ以降、内部通報などで詐称が発覚した場合は、懲戒免職にすると発表しました。同時に、課長や所属長が高卒から2年以上経って入庁した職員を対象に約6000人の聞き取り調査を行いました。今回懲戒免職になった男性は、その時の調査でも高卒と答えています。彼は当時、まだ若かったため、免職になるのが怖かったそうです」(同)

 結局、2006年の調査で学歴詐称を名乗り出たのは36人だった。ところが、

「その後も、匿名の通報によって学歴詐称が発覚しています。今回免職となった男性については、今年の2月、匿名の内部通報があったのです。今回で2006年以後、学歴詐称で懲戒免職となったのは14人になります」(同)

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