結局、全仏を放棄した大坂なおみ 会見拒否にプロOBは「彼女だけ特別扱いできない」

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全仏の苦手意識

「クレー」は土製の意味で、それを指摘したのが大坂の姉だったことも大きな注目を集めた。姉はネット上に「記者にクレーコートが苦手なことを問われ続けている」ことが会見拒否の原因だと投稿したのだ(現在は削除)。

 テニスの四大大会は、全豪、全仏、ウィンブルドン、全米で、全てを制覇することを「グランドスラム」と呼ぶ。そのうち全豪と全米が「ハードコート」で、これはアスファルトなどの硬質素材に合成樹脂をコーティングしたものだ。大坂は両大会とも優勝した経験がある。

 残るウィンブルドンは「グラスコート」で、これは天然芝だ。大坂は全仏とウィンブルドンで優勝経験がなく、特にクレーコートが苦手だと本人も認めていた。

 神和住氏によると、大坂の実力は「いつグランドスラムを達成してもおかしくないレベル」だという。となれば、彼女にとってクレーコートの苦手意識を克服することは急務だと言える。

「全仏を制するためクレーの猛練習を重ねているのは間違いないでしょう。そんな時に記者会見で『あなたはクレーが苦手ですよね?』と質問されれば、メンタルをかき乱されてしまうと考えたのかもしれません。会見拒否は看過できない問題ですが、その気持ちは理解できなくもないですね」(同・神和住氏)

CMで会見批判

 大坂の“マスコミ批判”が評価されたこともあった。2019年、大坂はスポーツ用品大手のナイキ(NIKE)のCMに出演し、記者会見での“愚問”をからかったのだ。

 CMでは大坂の練習風景が映し出され、そこに「日本人かアメリカ人か、自分をどちらと感じますか?」などの英語の質問や、「何か賞金で買いたいものはありますか?」、「またこの後もカツ丼食べますか?」、「日本語で答えてください」と日本語の質問が音声で流れる。

 大坂は人差し指を唇に当て「シーッ!」と静かにするよう求めるポーズをし、最後はコートに強烈なサーブを打ち込む姿が途中まで映されてCMは終わりとなる。

 このCMで大坂は「くだらない質問には答えません」と宣言したとの解釈が一般的で、この頃は「確かに日本人記者の質問は酷すぎる」と報じたメディアも少なくなかった。

 だが、敗因を訊いたり、クレーコートの苦手意識を問うのは愚問ではない。むしろスポーツ・ジャーナリストなら、必ず投げかけるべき質問だろう。

「プロテニスは巨大ビジネスです。試合以外にも様々なルールが設けられ、選手は行動規範を遵守する義務を負います。一流プレイヤーであればあるほど、スポンサーや広告代理店など様々な関係者のお世話にもなっています。何よりファンに肉声を届けるためにも、選手は会見に出席し、質疑応答に応じる必要があるのではないでしょうか」(同・神和住氏)

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