「田代まさし」に薬物を売った男性が著書を出版 逮捕されるまでの一部始終

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 2010年9月、タレントの田代まさしはコカインと覚醒剤(シャブ)の所持で逮捕(違法薬物では3回目)された。そのきっかけを作ったのが当時薬物の売人だった倉垣弘志氏(50)である。同氏はその年の10月10日に逮捕され、懲役3年の実刑判決を受けた。この5月、『薬物売人』(幻冬舎新書)を出版、自身が逮捕されるまでの経緯などを赤裸々に描いた。

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『薬物売人』では、2010年に田代が逮捕されたときの状況を詳しく書いている。以下はその抜粋である。

《田代は横浜赤レンガ倉庫近くの駐車場で、女と同乗している車の中にいるところを、APEC国際会議中の横浜を特別警戒している警官から職質を受け、田代と女の所持品の中から覚醒剤とコカインが見つかり、現行犯逮捕された。その後、部屋からは大麻約50グラム、覚醒剤10グラム、コカイン8グラムが見つかった。田代が俺以外からも薬物を入手していれば、刑事たちは俺の他にも捜査対象者がいて、探しているかもしれない。しかし所持していた薬物や、部屋から出てきた薬物の量から予想すると、俺が最近売り捌いた量にピッタリあてはまる。》

握手会でマリファナを渡す

 倉垣氏は大阪出身。中学時代から不良となり、何度も警察に補導された。高校時代はバイクでの集団暴走を繰り返し、卒業後、飲食店に勤務。ダンスに興味を持ち、没頭していく。この頃からマリファナ、覚醒剤、LSDを使用する。そして、32歳の時に上京、六本木でバーを経営しながら、違法薬物を売り捌いていたという。

 田代に初めて接触したのは2010年3月中旬。幕張で行われたイベントの握手会である。全く面識はなかったが、ブツがあることを知らせれば買ってくれると思ったようだ。

《あの時、俺と田代さんは握手をして一瞬だけ二人の人生が交差した。握手する俺の手の中にはマリファナが握られていて、それを田代さんに手渡した。》

 何とも大胆なやり口である。

 同時に電話番号も渡したという。

 田代は2001年12月、男性宅風呂を覗いて軽犯罪法違反で逮捕され、自宅に覚醒剤があったことから覚醒剤取締法違反でも逮捕された。その後、懲役2年執行猶予3年の判決を受けたが、2004年9月、今度は銃刀法違反と覚醒剤取締法違反で逮捕され、08年6月に出所した。

 握手会で倉垣氏からいきなりマリファナを手渡された田代。最初は躊躇したようだが、結局、薬の魔力には抗えなかった。当時、交際していた美容院経営者の女性に金を渡し、倉垣氏から薬物を購入するよう指示した。女性は4月上旬から、倉垣氏のバーで覚醒剤などを購入。7月上旬に倉垣氏が大阪に転居すると、宅配便を使って薬物や現金のやりとりを行うようになった。ちなみに、大阪のコンビニから送られたのは、覚醒剤約3グラム、代金は20万円だった。

 だが、田代が9月に逮捕されると、倉垣氏は自分にも捜査の手が伸びていることに気付いたという。

《ビルの前の有料駐車場に、作業着を着た二人組の男たちが乗った車がずっと止まっている。(中略)夜に細く開けた窓から外を窺うと、豊中駅と向かいのビルとの連絡橋からこちらをじっと見ている眼つきの悪いスーツ姿の男。俺が敏感に周りを気にしていたせいか、すぐに刑事だと推測できた。田代がパクられて半月ほどが経過している。彼がランナウェイを声高らかに歌いまくれば、そろそろお迎えが来る頃だろう。》

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