TBS「サンデーモーニング」原発処理水の報道で批判殺到 元担当大臣が指摘する問題点

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非科学的な報道

 4月13日、東京電力福島第一原発で増え続ける処理水に関し、政府は海洋放出の方針を正式決定した。この処理水放出を巡る「サンデーモーニング」(TBS系列・日・8:00)の報道が物議を醸している。

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「サンデーモーニング」が問題視されているのは、処理水の海洋放出を巡り、ことさらに不安をあおるなどしたからだ。その報道姿勢を検証するためには、そもそも処理水とは何なのか、確認しておく必要があるだろう。

 朝日新聞は原発に批判的な報道が少なくないが、4月14日の朝刊に「(いちからわかる!)トリチウムって、海に流して大丈夫?」を掲載した。漢字に読み仮名が振られるなど、小学生でも理解できるよう、配慮した解説記事だということが分かる。

 福島第一原発では、溶け落ちた核燃料の冷却水に、雨水や地下水などが混ざるなどした「汚染水」の発生が続いた。含まれる放射性物質の大半は濾過装置で取り除かれ、「処理水」として敷地内のタンクに保存されている。このタンク保存も限界に近づいているため、政府は海洋放出を決めた。

 一部に処理水の海洋放出を不安視する声があるのは、トリチウムの除去が極めて難しいからだ。しかし結論から言えば、朝日新聞はトリチウムを含む処理水を海に流したとしても、健康被害が発生するようなことはないとしている。

《トリチウムから出る放射線は弱く、紙一枚で遮(さえぎ)れると言われている。自然界でも宇宙からの放射線で日々トリチウムが作られていて、12・3年で放射能は半分に減る。実際、運転中の原発や使用済み核(かく)燃料の再処理工場からも、濃度(のうど)や量を管理して流している》

コメンテーターの発言

 更に原発からトリチウムを含む処理水が海に流されているのは、海外でも日常的に行われているというのだ。

《日本に限らず、海外でも原発1施設あたり、年間数兆~数十兆ベクレルを排水している。タンクの水に含まれるトリチウムの総量は約900兆ベクレルで、海水で薄(うす)めて何十年もかけて流すことになりそうだ》

 記事では「危なくない?」という質問に、次のように回答した。

《国の放出基準は1リットルあたり6万ベクレル。この水を70歳(さい)になるまで毎日約2リットル飲み続けても、被曝(ひばく)は国際的に許容されているレベルにおさまるという。福島第一では、基準の40分の1まで薄めるそうだ》

 以上の科学的事実を踏まえながら、「サンデーモーニング」の報道内容を検証していこう。実のところ、問題視されたのはコメンテーターの発言だ。具体的には、4月18日の中央大学総合政策学部教授・目加田説子氏と、5月2日のジャーナリスト・青木理氏の指摘が「非科学的」、「風評被害を誘発する」と批判された。

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