不倫相手は“禁断の女性” 数カ月に一回、ズルズルと…関係を絶てない男の懺悔告白

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 ふとしたことから、とんでもないことをしでかしてしまうのはその人が弱いからだろうか。「刑法上の犯罪」でないとしても、罪悪感を抱くような出来事に巻き込まれることは誰にでもあるのではないだろうか。

「僕は畜生道に落ちたんです。自分がここまで堕落しているとは思わなかった。罪悪感で身を切られるような思いをしています」

 いきなりそう懺悔したのは、富永裕大さん(44歳・仮名=以下同)だ。39歳のとき一回り年下の女性と結婚した。

「当時は友人たちによくからかわれました。そんな年下の女性と結婚したら浮気されるぞとか、妻が女盛りになったときついていけないぞとか。笑ってやり過ごしていましたが、3年もたたないうちにこんなことになるとは……」

 妻とは学生時代の友人の紹介で知り合った。いつまでも結婚しようとしない裕大さんを心配して、友人が自分の妻の後輩である美咲さんを紹介してくれたのだ。

「友人の家で見合いみたいなことをして。僕自身は結婚にそれほど興味はなかったんですが、当時ちょうど恋人もいなかったし、その直前にひどい風邪をひいて会社を数日休み、体力の衰えと精神的な孤独を思い知ったところだったんです。それで会ってみようかな、と」

 友人が裕大さんと美咲さんを自宅に呼んでくれた。和やかな雰囲気の中、ふわりとした彼女の温かさに惹かれたという。

「それからデートを重ねて、半年ほどで結婚を決めました。彼女といると安心できる。それが決め手でしたね。彼女のほうは『一緒にいて楽しい。それに年上なのに、どこか放っておけない感じがする』と言っていました。頼りない男に映ったのかもしれません。実際、僕は心身ともにマッチョ系じゃないし」

 とはいえ、裕大さんはなかなかの“イケメン”である。昔風にいえば優男。笑ったときのえくぼが、確かに「放っておけない」感じを醸し出してもいる。

8歳しか違わない義母

 結婚したいと思い、お互いの家庭のことを話したとき、彼女は「私は天涯孤独みたいなものだから」と言い出した。複雑な家庭環境で育ったとも言った。

「気になるから聞き出そうとしたんですが、彼女はあまり語りたがらなかった。ただ、ひとりっ子で、中学のときに父親が亡くなった、高校を出て就職してからは母とも疎遠だと。結婚するなら母親には伝えたいと思うのが普通だろうと想像したんです。だけど彼女は『一応、連絡はしておくけど、母は私に会いたがらないと思う』と。かなりこじれた関係なのかなと思いました。それが結婚の障害にはならなかったけど」

 裕大さんは三人きょうだいの末っ子だ。親子関係はつかず離れずで、子どもたちは全員巣立ち、両親は九州の実家でケンカをしつつも仲良く暮らしている。

「あるとき、実家に美咲を連れていきました。結婚するからと。両親は淡々と受け入れてくれた。母親は『おとうさんとふたりだと何も作る気になれないけど、今日はごちそう作ったからね』と上機嫌。クッキーまで焼いていました。美咲もお菓子作りが好きなようで、母からレシピを教わったりして。父もご機嫌で迎えてくれた。和気藹々と食事をして親の家を出ました」

 帰り道、美咲さんが涙を流しているのに彼は気づいた。彼女は、「私にはあんないい雰囲気の家庭での体験がない。結婚できるのか不安になってきた」と言った。それが裕大さんの胸を打った。自分が幸せにしてやらなければ。そう決意した。

「結婚してから、美咲の母親に会いに行きました。彼女は渋っていましたけど、一度くらい顔を見せてもいいんじゃないかと僕が言って。『母は店をやっているから、店のほうに行こう』と彼女は言うんです。ゆっくり話せないなと思ったけど、美咲は母親とゆっくり話す気などなかったんでしょう」

 カウンターだけの小さな店だったが、意外なほど若く見える義母はニコニコと迎えてくれた。美咲さんが嫌う理由が彼にはよくわからなかった。常連で混んできたとき、美咲さんは腰を浮かせた。1時間もいなかったと思うと裕大さんは言う。

「それでも帰りには店の外まで見送ってくれて、『不出来な娘ですけど、よろしくお願いします』と頭を下げてくれました。いいお母さんじゃないかと言うと、美咲は『外面はいいのよ』と。そして初めて母親のことを話してくれたんです」

 美咲さんの母は、20歳のときに彼女を産んだ。妊娠がわかると相手は黙って去ってしまったらしい。乳飲み子を抱えた母は水商売をしながら子育てをした。そんな母を受け止めてくれる男性が現れたのは、美咲さんが2歳のころ。

「彼女が父親だと思っていた人は、本当の父ではなかった。母親より30歳年上だったそうです。美咲が小学生のころに定年退職して、以来、母は夜の仕事をするようになり、美咲は父親に育てられた、と。おそらく母親は浮気などもしていたんでしょう。美咲は、母親が“女”をまき散らしながら帰宅するのが嫌だったと言っていました。そして中学を卒業するころ、お父さんは病死したそうです」

 入学が決まっていた公立高校には通ったものの、大学に行く費用は捻出できず、早く家から出たくて美咲さんは就職した。

「高校時代、母とふたりで暮らしているころも美咲は母親に複雑な思いを抱えていたそうです。男性を連れて帰ってくることもあったみたいで。確かに色気があって、きれいな女性なんですよ、義母は」

 義母と裕大さんは8歳しか違わなかった。

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