文在寅に戻ってきたブーメラン 自身の失政を忘れ、若者の雇用難を新型コロナのせいにして

国際 韓国・北朝鮮

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「口だけで政策をするのではなく」

 4月7日に企画財政部が発表した「IMF(国際通貨基金)World Economic Outlook(世界経済見通し)韓国の成長率の特徴および意味」資料によると、昨年の韓国経済規模は世界10位で、2019年(12位)に比べ2段階上昇したとある。

 この資料だけを見ると、現時点での韓国の経済状況はそれほど悪くない。

 大統領自身も3月、「韓国はコロナ禍以前の経済水準に最も早く回復する国の1つとなるだろう」と述べているほどだ。

 ご覧の通り経済成長はしっかりしているのだから、コロナさえ封じ込められれば一切合切は解決できると訴えたいのはよくわかる。自身が播いたタネが元凶で、それが根深い地下茎のようになってしまっている以上、コトはそう単純ではないはずだが。

 今回の文在寅大統領の発言の中でブーイングが多く集まったのは、「住居の確保も重要課題だ。若者および新婚夫婦で持ち家の無い者にマイホーム購入の機会がより増えるよう努力すべきだ」とした部分だ。

 雇用促進と同じく、こちらも具体的な解決策はまだ発表されていない。

それどころか、連日のように、公務員が値上がり確実な土地を前もって購入して不当な利益を得たという疑惑がメディアで連日取り沙汰されており、解決どころではない状況だ。

 大統領自身も、私邸用として購入した土地の一部地目が「農地」となっていたのを、1年足らずで「宅地」へと転用し不当に利益を得ていた可能性があるため、国民の理解がなかなか得られていない。

 それもそうだろう。大統領の失策により一般的な若者たちはマイホーム購入など全く遠い世界となってしまった一方で、大統領以下、高級官僚はしこたま不動産で蓄財を進めていた疑惑が濃厚となっているのだから。

 そういった“失われた世代”の面々からは、

「口だけで政策をするのではなく、行動に移さないと……」

「大統領……頭がまわらないんだったら……呉世勲(オ・セフン)ソウル市長に教わって…」

 といったコメントがインターネット上に寄せられている。

 期待されなくなった最高権力者ほど惨めなものはない。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮取材班編集

2021年4月20日掲載

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