窮地の吉村知事が打ち出した「マスク会食」 大阪の食堂やレストランで喧嘩が増える?

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 昨年春からのコロナ対策で「国に先んじて手を打つ」が評価されてきた大阪府の吉村洋文知事(45)だが、ここへきて大ピンチとなった。3月初めに緊急事態宣言の解除を求めて、東京より三週間早く解除させたものの、感染者の激増で全国に「先んじて」国の「まん延防止等重点措置」(いわゆる「まん防」)を要請、適用されることになってしまったのだ。

 対象地域は大阪市内で期間は4月5日から三週間程度の見通しだったが、大阪の要請を受けた政府の協議で大阪市をはじめ、神戸市、西宮市、尼崎市、芦屋市、仙台市の6都市についてゴールデンウィークが終わる5月5日までの一か月間となった。改正特措法で2月に新設された同措置の適用は初めてだ。

「若者激増」「ステージ4」に緊張

 3月中旬に入ってから大阪府の感染者は右肩上がりで、吉村知事は「第4波に入っている」とは公言していた。それが想像を超える「危機的状況」となった。3月30日に東京を上回る434人となり、31日には一挙に599人となった。同じ31日の東京都は414人だ。人口が東京の6割しかない大阪府の数字だから尋常ではない。「七日間での人口10万人当たりの新規感染者」も、3月1日には5・67人だったのが、31日には28・58人に激増。もっとも深刻な「ステージ4」の目安とされる25人をあっという間に上回った。

 政府に「まん防」を求めるか否かの府の対策会議は4月1日に開かれるはずだったが、急遽、前倒しを求め31日の午後4時から会議をいつものように公開で開いた。

 中心的に報告する藤井睦子保健部長からの「今日の感染者は599人です。20代、30代の人の感染が50%を超えています。ステージ4を超えている要素もあります」などの報告に、出席者の表情にはいつもとは違う緊張感が走った。

 4月5日から三週間程度の「まん防」の適用を求めることを決めた会議は40分ほどで終了した。防止策は飲食店の営業をこれまでの午後9時までから8時までにする時短要請をはじめ、アクリル板設置、入場者のマスク着用、飲食中の「マスク会食」、カラオケ店への自粛内容などだ。違反店舗には20万円以下の過料が課されるが客への罰則はない。

 会見した吉村氏は「ここ一週間の伸びが非常に高い。感染の山をできるだけ抑えていくために大阪市内を中心に集中的対策を取る必要がある」などとした。感染経路も半数以上が不明と不気味で大阪府医師会の茂松茂人会長はテレビ取材に「急拡大の原因は変異ウイルスの影響が大きく思った以上に広がっている。対応が全くできていない。極力(変異型の)検査を増やしてほしい」と話していた。

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