窮地の吉村知事が打ち出した「マスク会食」 大阪の食堂やレストランで喧嘩が増える?

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打ち出した聖火リレー中止

 翌4月1日には大阪府の感染者は616人になった。すると吉村知事から「爆弾発言」が飛び出した。「蔓延防止措置になったら大阪市内での東京オリンピック聖火リレーを中止すべきだ」と言ったのだ。聖火は4月13,14日両日に大阪城公園などを走る予定だった。決定権は東京五輪オリンピック・パラリンピック組織委員会(橋本聖子会長)ではあるが、自治体の長が中止を求めているものを走らせるわけにもいくまい。沿道に人が詰めかけてクラスターにでもなったらまさに委員会の責任になる。

「まん防」も聖火リレー中止も、とりあえず大阪市内だけに限定した措置である。もちろん、吉村知事は「維新の会」の盟友松井一郎市長の同意を取り付けている。聖火リレーが間近に迫っている中、中止を打ち出し大阪市の危機感をアピールすることも狙っている。

 府内すべてではないとはいえ、本当に中止となれば、コロナの感染防止を理由にした聖火リレーの中止は初めてであり、五輪関係者にとってショッキングな出来事になる。早くから「コロナ対策第一」を理由に県内での「聖火リレー中止」を強く主張している島根県の丸山達也知事(49)を出し抜くことになるかもしれない。吉村洋文とはどこまでも「先んじる政治家」のようではある。

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」「警察の犯罪」「検察に、殺される」「ルポ 原発難民」など。

デイリー新潮取材班編集

2021年4月3日掲載

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