36年前の“わいせつ処分歴”を告白した「男性講師」 今頃“自首”したトホホな理由

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 埼玉県教育委員会は3月22日、女子生徒へのわいせつ行為で懲戒免職となった履歴を隠したまま働いていたことなどを理由に、富士見市内の講師(62)を懲戒免職処分にした。今回の一件は、今年1月、本人が自ら申し出たことで問題が発覚した。実は、文科省が今年2月より教員免許失効情報をまとめたシステムの運用を見直したことが大きく関係しているという。

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 問題の講師は、かつて福岡県筑後市の中学に勤務していた。ところが1985年、女子生徒へのわいせつ行為で懲戒免職になった。福岡県で教師を続けるのは無理な話である。そこで、自分の素性が知られていない他県で改めて教師になったようだ。

「本人の話によると、あくまで女子生徒と恋愛関係になって、性交渉を持ったそうです。痴漢行為ではなかったということでした」

 と語るのは、埼玉県教育委員会小中学校人事課の担当者。

「福岡県教育委員会にも問い合わせましたが、女子生徒に淫らな行為をしたとしか確認できませんでした。ですから女子生徒と恋愛関係になったという説明は、裏付けのあるものではありません」

教員免許は失効していない

 教員が懲戒免職になった場合、現在の教育職員免許法では、免許は失効となる。

「現行法は2002年に改正、施行されたものです。02年以前では、禁錮以上の処分があった場合に失効となり、それ以外の場合、免許を取り上げるか、取り上げないかは、各都道府県教育委員会の判断に委ねられていました。福岡県教育委員会によると、当時件の講師の教員免許は取り上げなかったそうです」(同)

 講師は1988年、埼玉県教委で臨時採用され、90年に本採用となっている。

「講師は、90年に坂戸ろう学校、95年に埼玉県立盲学校、99年に日高養護学校(2009年に日高特別支援学校に改名)、11年に川越特別支援学校、16年に川島ひばりが丘特別支援学校に教諭として着任しています」(同)

 18年2月、一身上の都合で退職しているが、

「20年8月、また働ける状況になったため臨時採用となり、富士見特別支援学校の講師に就任していました」(同)

 ところが、その1カ月後の9月、文部科学省は教員免許失効情報をまとめたシステム「官報情報検索ツール」の運用を見直し、教育委員会が閲覧できる期間を現行の3年から40年に延長、21年2月から本格運用すると発表した。

 先にも触れたように、、講師は1985年に懲戒免職にはなったものの、教員免許を失ったわけではない。そもそも「官報情報検索ツール」には彼の名前は載っていない。だが、閲覧できる期間が3年から40年になることに危機感を覚えた。このままだと36年前に自分が起こしたわいせつ事案が知られると勘違いしたのだった。

 そして、講師は今年1月、富士見市教育委員会に出向いたのである。

「講師は、『実は、こういう事がありまして……』と言って、福岡の女子中学生に淫らな行為をしたことで懲戒免職になったことを告白しました。『処分を隠蔽してきたことに対してずっと罪悪感があったが、勇気がなくて言い出せなかった』と言っていたそうです」(同)

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