事件現場清掃人は見た トイレで孤独死していた「50代男性」の元妻に泣けた理由

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元夫の部屋で暮らす

 結局、高江洲氏は消毒作業だけを行った。そして、部屋のリフォームを彼女と相談していく中で、意外な事実を知ることになる。

「彼女は男性を“身内”と言っていましたが、実はかなり以前に離婚していて、戸籍上は他人だったのです。離婚後、弁当屋でパートをしながら、3人の子どもを育てたといいます」

 女性は離婚したのに、なぜ清掃を依頼してきたのか。

「離婚した後も、3人の子どもが父親のマンションによく遊びに行くなど、元夫と交流があったのです。子はかすがいと言いますが、彼女も元夫と時々会うようになったということでした。もしかすると、遺体を発見したのは彼女だったのかもしれません」

 高江洲氏の経験では、元妻や元夫が依頼主になるケースは珍しくないという。

「彼女を見ていると、夫婦や家族とも異なる愛の形があることを思いました。離婚に至ったのは、2人にしかわからない事情があったでしょうが、最後まで身内であることには変わりなかった。亡くなったかつての夫を思いやり、他人には見られたくはないと思われる汚れを、掃除したのです。愛情がなければそんなことはできません。私は強く胸を打たれました」

 女性は高江洲氏に、元夫が亡くなったマンションで子どもたちと一緒に暮らすつもりだと話したという。

デイリー新潮取材班

2021年3月22日掲載

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