捕まった「ワタナベマホト」の本名は“摩萌峡” 命名研究家は「キラキラネームの因果」

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笑々寿、楽楽、獅子王……

 最終的に父親は別の名前で出生届を出し直したが、それまでの間、連日のようにワイドショーや新聞の社会面で大きく取り上げられる騒動となった。

 この「悪魔ちゃん命名騒動」は、キラキラネームの特徴である「読めないほど特異な当て字」ではない。「悪魔」は誰でも「あくま」と読める。一方の「摩萌峡」を「まほと」と読める人はまずいないだろう。

 しかし、伝統的な名前を参考にせず、ことさら珍奇な命名を行う親が存在することを世に知らしめた、最初の出来事だと言える。

 法曹家にとっても「親の命名権」を考える上で重要な資料となっているそうだ。こうしたことから「悪魔ちゃん命名騒動」はキラキラネームの“原点”と言われることもある。

 週刊新潮は2015年1月22日号に、ノンフィクション・ライターの白石新氏が執筆した特別読物「子供に十字架を背負わせる『キラキラネーム』命名辞典」を掲載した。

 この記事で紹介されている“特異な名前”には、以下のようなものがある。

 笑々寿(えーす)、来楽(らら)、一二三(わるつ)、獅子王(れお)、緑輝(さふぁいあ)、真九州(まっくす)、明日(ともろう)……こんな具合だ。

カタカナでも変

 普通に読むと、人名としては問題のある単語を使うケースもある。「遊女」は『大辞林』の場合、《古来、宴席などで歌舞をし、また、寝所に侍ることを職業とした女。あそびめ。うかれめ。遊君》と明記されている。

 親がこの定義を知っているのかは不明だが、「遊女」と書いて「ゆめ」と読むのだという。

「心中」は《相愛の男女が合意の上で一緒に自殺すること》とある。これを「ここな」と読ませるのだそうだ。

 週刊新潮の記事では《10万人以上の子供の名付け相談をおこなってきた》という命名研究家の牧野恭仁雄氏が登場し、キラキラネームの解説を行っている。

 改めて牧野氏に「摩萌峡」という名前をどう受け止めるか、取材を依頼した。

「そもそも一種の芸名として使っていた『ワタナベマホト』というカタカナの名前も普通ではありません。常識的な人なら『ホト』という音を人名に使わないからです。試しに広辞苑で『ほと』を引くと、『陰』の漢字が記され、《女の陰部。女陰》と記されています。『まほと』という音からして人名にふさわしくはないでしょう」

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