法廷で「よっしゃー!」と喜んだ「アポ電」強盗犯 裁判官が見誤った“酌むべき事情”
己の犯した罪と向き合おうとしない者を、法で裁くのには限界があるかもしれない。男は「アポ電強盗」に入り80歳の女性を死亡させた罪で起訴され、無期懲役を求刑されていた。だが、一審判決で懲役28年の有期刑を言い渡されると、人目をはばかることなく「よっしゃー!」と叫んだのだ。男を歓喜させた判決とは――。
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閉廷直後に響いた男の叫び
「閉廷します」
裁判長の言葉で、法廷の全員が起立・礼をした直後のことだった。傍聴席の扉が開かれ、傍聴人たちが外に出ようとした刹那、被告人席から雄叫びが聞こえた。
「よっしゃー!」
叫んでいた男は、つい先刻、懲役28年に処されたばかりの男であった。傍聴人が振り返る。
「みなが唖然としていました。被告は法廷にスーツ姿で現れ、一見、反省したそぶりを見せていましたが、まったく反省していないんだと誰もが思いました」
3月9日、東京地方裁判所で開かれた「江東区アポ電強盗致死事件」の判決公判での一コマである。「よっしゃー」発言は、即日テレビや新聞で報道されたが、実は男は他にもふてぶてしい態度を見せていた。
「彼は主文言い渡しの直後に、証言台で裁判長に対し、90度深々と礼をしてから『っした!』と叫んでいました。“ありがとうございました”の語尾だけを強調した、居酒屋店員が客を威勢良く見送る時のような言い方です。被告は彼を含めて3人いましたが、叫んでいたのは彼だけでした」(同)
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