私がニンテンドーDSを集めまくる理由 無理して最近のゲームをする必要はないのでは(中川淳一郎)

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 まだスマホを持ってません。先日Zoomで座談会をしたパリコレ出演経験があるモデルの女性も「私もガラケーよ! アンタ、仲間ね!」と言ってくれました。「ネットニュース編集者」を名乗っているくせにテクノロジーに追い付いていないのですが、まぁ、これでいいのでは。だってパリコレモデルだって持ってないんですよ!

 スマホが爆発的に普及した2008年あたりから13年ほど経ちましたが、特に困ったことはない。むしろ、どうでもいい情報に触れないで済んでいるので結果オーライでは。

 デジタル化が進む中、社会から置いていかれる人間が困るのが「愛用している商品が生産中止になっちゃった!」という場合です。私の場合、ニンテンドーDSなのですが、「3DS」「2DS LL」など、軒並み生産終了に。当然、過去にバカ売れしたファミコンやスーパーファミコンも生産終了になっているのでDSシリーズの終了も企業判断としては当然の話です。商品というものは、ニーズが低くなれば消滅する運命にあるのです。

 ただ、ファミコンやスーファミのゲームは今、DSやニンテンドースイッチでダウンロードできますので、ご安心ください。

 デジタル化に加え、自分にとって問題なのがゲームの進化です。昨今プレイステーション5の転売問題がニュースになるほど人気となっていますが、私はこの流れに、とんと乗ることができないんですよ。理由はただ一つ、「方向音痴だから」という点にあります。

 PS3以降のゲームは3Dが多いです。方向感覚に優れた方にとってはこれらのゲームをプレイするのはどうってことないでしょう。ただし、現在地と照らし合わせるのに地図を回転させなければ状況が把握できないような方向音痴の人々にとって、3Dのゲームはかなりキツいです。

 私など、「真・三國無双」「ドラゴンクエストVIII」レベルの3D度合いであっても道に迷ってしまい、先に進めなくなります。そこで何を考えたかというと、「もはやPS3以降のゲームはオレにはできない」という割り切りです。

「eスポーツ」などでゲームも今や花形になっていますが、方向音痴からすれば他人とゲームで闘うことなど無理なんですよ。となれば、個人でひっそりとゲームを楽しむ方向に行くのですが、その時に最高なのがDSシリーズです。

 それなのに、DSの本体自体が生産停止になっていく。そこで今私が何をやっているかといえば、アマゾンでひたすらDSシリーズの本体を買い続ける行為です。もう、恐怖心にさいなまれている状況に近いのですが、ついにDS本体の保有台数、7台になってしまいました。

 これからこれら個々の本体が“勤続疲労”から使えなくなったとしても、バックアップは用意してあるよ!という安心感を得るために買い続けています。そんな中、「DSの蓋を閉めても、本来はその続きからゲームができる」はずなのに、「ドラクエⅤ」が前回のセーブデータに戻っていた! 本体の劣化が原因か!

 これに私は驚愕し、DSをさらに買うことを決意したのです。コロナへの恐怖よりもDSが使えなくなる恐怖の方が私は強いです。どちらもバカですが。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2021年2月25日号掲載

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