事件現場清掃人は見た 孤独死した男性の弟に居酒屋オーナー夫妻がしたあり得ない提案

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お骨を私たち家族の墓に

 友人は、兄のお骨や遺品を受け取るため、再び大阪を訪れた。そして、部屋を片付けてくれたオーナー夫妻にあいさつに行った。

「すると、夫妻は友人に『お兄さんの骨を、私たちの家族の墓に入れさせてください』と申し出たそうです」

 友人は、しばらく言葉が出なかったという。

「夫妻は、お兄さんを身寄りがないと思っていたわけですから、生前冗談交じりに、『死んだらうちの墓に入ればいいよ』と話したことがあったのかもしれません。とはいえ、結局弟がいたわけですから、夫婦がわざわざそこまでやる必要はない。お兄さんに対する、並々ならぬ愛情を感じました」

 友人は、お兄さんのお骨を夫妻に渡すことにしたという。

「友人は、『本当にこれで良かったのかな』と言うので、私は『君がお兄さんの立場だったら、どうしてもらいたい』と言いました。彼はしばらく考え込んだ後、自分の出した答えに納得したようでした」

 友人の兄が住んでいたアパートの大家さんや居酒屋のオーナー夫妻、常連客はみな優しい人たちだったそうだが、

「今回は、人と人との絆の強さに触れることができました。この時ばかりはいつもの仕事の辛さを忘れて、本当に幸せな気持ちになれました」

デイリー新潮取材班

2021年2月19日掲載

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