事件現場清掃人は見た 孤独死した老女の部屋を清掃した同業者が自死した理由

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父親からのショートメール

「『息子が自死しました。生前は、お世話になりました』という内容でした。もう啞然としましたね。私も特殊清掃の仕事をした後、辛くて死にたくなったことが何度かありますから、彼の気持ちもよく分かります」

 父親からショートメールが届いてから2週間後、今度は高江洲氏の会社に電話があった。

「亡くなった彼と一緒に特殊清掃をやっていた、後輩からでした。自死した理由を教えてくれました。彼は、自分がお婆ちゃんの様子をマメに見に行っていたら、孤独死せずにすんだかもしれないと自分を責めていたそうです。そして、生きる意味を考え始めたといいます。仲良くしている人の特殊清掃をやることは普段以上にツライから、私は基本的に、知人の特殊清掃は行わないことにしています。彼は、本当に精神的なダメージを受けたんでしょう」

 かわいがってもらったお婆さんの部屋の清掃をすることは、彼にはかなりの精神的負担になったとみる。

「一般のサラリーマンに比べても、特殊清掃で得られる報酬はかなり高いと思います。人が亡くなったことで成り立つ仕事なので、いつも罪悪感が伴います。私は自分の身の丈以上の報酬ではないのかと思い、あまりためこむのはよくないと散財してしまうこともあります。とにかく亡くなった方のことを考えてしまうと精神的にも大変です。あまり長くはやっていけません」

デイリー新潮取材班

2021年2月15日掲載

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