「男になりたかった」ヒットマンに無期懲役、裁判の傍聴にやってきた“親分”への思いとは?

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親分への愛

 この安東組長自身、山一抗争の時代に自動小銃を手に相手方の本丸、山本広会長の自宅に乗り込んだ際に、警戒中の警官3人をハジいている。このときの道具が、他ならぬ自動小銃だった。

 当時、事件に関係した兵庫県警の元捜査幹部がラジオ関西の取材に応じ、こう語っている。

《自動小銃は機関短銃というスワット隊が突撃用に使用する22口径の小銃。セドリックバンのパトカーには警察官3人が乗車していたが、薬きょうが大きく後部のバンパーから入った弾は助手席にいた警察官の背中に当たった。物凄い威力のある小銃。とても素人では撃てない》(ラジトピ2020/02/05)

 この一件でその後に逮捕・起訴された安東組長は約20年の懲役生活を送り、2011年に刑務所を出所した。

「4代目山口組の竹中正久組長が創設し、長らく使われていなかった『竹中組』の名跡が復活した際に、そのトップに立ったことからも、器の大きな人物という評価があるし、正久組長の弟で私も仕えた竹中武組長も”安東組長を買っている”という趣旨の言葉を残しています。朝比奈被告自身が自動小銃を選んだ理由は、かつて自動小銃を使って組織内で功労者と言われた親分への愛を感じさせますね」

 と竹垣氏。

「暴力団員の更生を担う立場としては誤解を招くかもしれませんが、山口組の分裂後に起こった抗争事件の中で最もインパクトのあったのが、朝比奈被告による銃撃でした。ですから私自身、裁判の傍聴に行きたかったのですが、どうしても都合が合わず、代わりに知人に出向いてもらうことにしたのです。法廷には安東組長も傍聴にやってきており、その顔を確認した朝比奈被告は軽く会釈していたと聞きました。先ほども言いましたが殺人教唆が疑われる可能性がある中で、そういった行動はなかなかできるものではありません。長い懲役というか無期懲役もあり得る中で、親分がやってきてくれたことは、朝比奈被告にとって励ましになったことでしょう」

 もちろん一歩間違えれば市民が犠牲になっていた危険な犯罪。当人が満足しているからといって許されるはずもない。

 判決は19日に言い渡される予定だ。

デイリー新潮取材班

2021年2月13日掲載

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