「文在寅外し」に乗り出した米日 「中国べったり」と見切り、政権交代待ち

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もう、米韓は価値観を共有しない

・(文在寅大統領の中国共産党への祝辞には)失望し(discouraging)、懸念している(concerning)。中国が香港人にしていること、台湾に加えている威嚇などは本当に憂慮すべきだ。(中共の)そんな歴史に大喜びするなんて私には理解できない。
・文大統領は習近平におもねろう(flatter)として言ったのかもしれない。が、最終的にそれ(中共の価値)が世界や韓国と共有する価値ではないことを理解しているよう願う。
・こうなることを願って我々は共に血を流したのではない。その後も韓国の防衛と朝鮮半島の非核化のために資源を投入しているのではない。
・(2020年末に公布された「対北朝鮮ビラ禁止法」に関し)文大統領は挑発的だと見ているのかもしれないが、私はそう見ない。情報の流れは普遍的な権利だと考える。北朝鮮の人々に情報を提供することが重要だ。北朝鮮の人々が苦痛の中にあった時、我々が彼らの側に立っていたことを明確にせねばならない。
・バイデン政権は全世界で「人権」と「民主主義」を米外交の礎石(cornerstone)に格上げすることになる。(上院外交)委員会が北朝鮮の人権問題を提議するよう望んでいる。

――「米国は文在寅とは価値観を共にしない」と宣言しましたね。

鈴置:その通りです。さらには、価値観を共有しないなら韓国との同盟は打ち切るぞ、と示唆したのです。

・韓国に説教するつもりはない。(米韓同盟のスローガンが)「共に行こう」であるのは、我々が価値を共有しているからだ。韓国に何らかの変化がない以上は、(民主主義と人権という)その価値を韓国民が守ると仮定するということだ。

 韓国と価値観を共有するからこそ同盟を維持してきた、と強調することで「民主主義をおろそかにするなら見捨てる」と警告したのです。「説教するつもりはない」と言いつつ、露骨に脅したわけです。

脅さないと付け上がる韓国人

「中共称賛」だけではありません。文在寅政権は司法への影響力を強め、三権分立を壊し始めています(「ヒトラーの後を追う文在寅 流行の『選挙を経た独裁』の典型に」参照)。

 バイデン政権で韓国担当の国務次官補代理に指名されたJ・パク(Jung Pak)氏は就任直前に「報道の自由も人権もないがしろにする文在寅政権」を非難する論文を発表しました(「『バイデンから電話が来ない』と気を揉む韓国人 原因は『習近平コール』か、それとも――」参照)。

 韓国の民主主義の後退は米国の外交専門家の間で常識になっている。そこでメネンデス上院議員も文在寅政権の「離米従中」に警告を発する際に、「人権」や「民主主義」といった米国との共通の価値観の喪失を武器に使ったのでしょう。

――率直に「離米従中するな」と言えばいいのでは?

鈴置:それは逆効果です。韓国人は米国から「戻って来い」と袖を引かれると「自分は米国にとって不可欠な存在なのだ」と思いこみます。そして「何をやっても米国から見捨てられない」とばかりに、ますます米中二股に精を出します。

 韓国には「見捨てるぞ」と通告した方が効果的なのです。この辺はメネンデス上院議員も十分に分かっているのでしょう。朝鮮日報に対し、繰り返し「中国側に付くな、と言っているのではない」と語りました。以下です。

・米国は、韓国が中国に対抗して絶対に米国側に付かなければならないと頼んでいるわけではない。破壊的な朝鮮戦争の後、韓国を強い国、信じがたいほどの経済的な虎にしたその原則を擁護してほしいとお願いしているのだ。
・これは米中間の対決で韓国が米国の側に付くという問題ではなく、我々が共有している民主主義・自由市場・法治・反腐敗・紛争の平和的で外交による解決・人権といった価値を守るための問題だ。

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