「菅首相」は「官房機密費」をホントに総裁選に使っていないのか?

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過去には選挙対策に

 菅氏の引き出しと同じように、“駆け込み”感が目立つもので、政府は、鈴木宗男衆院議員(当時・新党大地代表)の質問主意書に答える形で「異常」と断じた格好だ。

 交代が決まった政権の官房長官に「内閣官房の仕事を円滑に進める」という動機を見つけるのは難しいだろう。さらに悪いことに、1日300万円という通り相場を遥かに超えていることも国民の理解を得られるとは思えない。

 同じ鈴木宗男氏に関しては、こんなエピソードもある。

《平野博文官房長官は2010年4月22日、東京都内のホテルで開かれた新党大地の鈴木宗男代表の政治資金パーティーであいさつし、鈴木氏が自民党総務局長だった時期の大阪府知事選の際、「5000万円なら出そう」と打診してきたことを披露し、「今思えば、そのカネは官房機密費(内閣官房報償費)から出ているんじゃないかな」と述べた。平野氏は、鈴木氏が機密費に関する質問主意書を多く出していることにも触れ「パーティーにはポケットマネーで参加させていただいた。主意書がなければ、ひょっとしたらそこ(機密費)から出したかもしれない」とおどけてみせた。鈴木氏は自民党の選挙実務を仕切る総務局長に99~01年在任。00年の府知事選では民主、自民両党が相乗りで推薦した太田房江氏が初当選した》(毎日新聞2010年4月23日より)

 国会対策にも日比谷高校の会費にも支出されているくらいだから、選挙対策に使われていてももはや不思議ではないが、当事者がそれをにおわせていたことは注目に値する。

 自民党の閣僚経験者によると、

「総裁選は政治資金規正法にも公職選挙法にも引っかからないので、現金が飛び交う天国だというのが永田町の常識。2つの派閥からカネをもらう『ニッカ』、3派閥なら『サントリー』、あちこちからもらうパターンは『オールドパー』なんて昔は言われたけどね、まぁ今もカネの授受は普通にありますよ」

 少なくとも、菅氏による“駆け込み”引き出しについての弁明は聞いてみたいものだ。

 機密費の使用も、そしてコネ入社も、ごく一握りの人たちに許された既得権益の象徴である。

デイリー新潮取材班

2021年2月6日掲載

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