インド料理界の重鎮が絶賛する「フレンチレストラン」は館山に オークラで修業したシェフの味は

ライフ 食・暮らし

  • ブックマーク

Advertisement

 好きな飲食店や好物の話を聞けば、その人の人となりが解るというもの。ゆえに「名は体を表す」ならぬ、「食は体を表す」なのである 。この企画では、外国籍の著名人の方々にご登場頂き、行きつけのお店をご紹介してもらいます! 意外なお店のチョイスに驚くこと必至! 彼らの食に対する感性と経験が垣間見えちゃうんです。第74回は、G.M.ナイルさん。今回は「トックブランシュ」に伺いました!!

 日本初の本格インド料理店として、1949年から斯界をリードし続ける東京・銀座の「ナイルレストラン」。2代目店主として店を切り盛りするのみならず、タレントとしてもお馴染みのG・M・ナイルさんは、飲食業界の生き字引である。

「戦後、日本の洋食を引っ張ったのは、ホテルニューオータニ、帝国ホテル、そしてホテルオークラの三大ホテルです。それぞれに“神様”がいましたが、オークラの神様はムッシュ小野。彼はフレンチの命ともいうべきソースを大切にしたのですが、ムッシュ小野の味を受け継いだ店が千葉の館山にあるんですよ」

 それが「トックブランシュ」。オーナーシェフの宮澤幸治さんは、オークラで腕を振るったのちに独立し、2003年、この地に自身のフレンチレストランを開業した。

「なにしろボクの家から車で20分ぐらい。オークラ時代から大好きな宮澤さんの店だから、オープンのときにテープカットもやりました。もう何百回も来てるけど、必ず大満足させてくれますよ」

“料理についてお世辞は絶対に言わない”と豪語するナイルさんが、ベタ褒めである。

 フォアグラのパテなどの1皿目に続き、オードブルはヤリイカのアヒージョ、かぶのクリーム詰めなど3点。うっかりするとこれがメインかと思うほどゴージャスである。次いでスープが出てくると、

「ほら、オイスターチャウダーもほかの店とは一味ちがうでしょ? どうしてちがうのかわからないんだけど……」

 魚料理は平目のムース包みに、アワビと海老のカダイフ添えである。バルサミコソース、甲殻類のダシが効いたアメリケーノソース、魚介のホワイトソースがかかっている。

「ソースを混ぜてごらんよ、最高だから。一皿の中にいろんな味がある。これこそがフレンチですよ」

 真打の肉料理は、牛ヒレ肉のポワレ。マデラソースとの相性は言わずもがな。

 食事中は赤ワインをがぶがぶ飲んで、コニャックでしめるのがナイル流。本格的かつカジュアルなフレンチで、“セ・ボン”!

週刊新潮 2021年1月28日号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。