事件現場清掃人は見た レンタルボックスで練炭自殺した建築会社社長の“隠し事”とは

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FXに1億円注ぎ込む

 FXで大失敗した末の自殺だった。

「彼の経営する会社は、売上が3億円程度の中小企業です。業績があまり良くなかったので、投資で一発あてようと思ったようです。最初は大した損害ではなかったそうですが、取り戻そうとして会社の資金を使い始め、結局、1億円近く使ってしまったそうです。そのため、会社は倒産。30人いた従業員には給料も退職金も払えなかったといいます」

 亡くなった社長には、大学を卒業したばかりの一人娘がいたという。

「奥さんは、最初夫が急に亡くなったことでかなり動転していましたが、会社を整理したりして冷静になってくると、『私たちを残して勝手に死んで』と怒りが込み上げてきたようでした。奥さんは社長が亡くなった1年後に、ハウスクリーニングの仕事を始めました」

 高江洲氏は、この社長の件も含めFXで失敗し、自殺したケースを6件処理したという。

「たとえば8年前、120平米で家賃が100万円以上もする都内のタワーマンションに住んでいた30代の人が、FXで失敗。4畳半の広さのウォーキングクローゼットの中で首吊り自殺をしました。家賃が滞ったため、不動産会社の人が部屋を訪れ遺体が発見されました。死後1カ月くらい経っていたそうです」

 それにしても、FXで失敗して自殺するケースは意外と多い。

「実は、私の会社には『どうやったら、楽に死ねるでしょうか』という電話がたまにきます。多くの事件現場を見てきたので、死に方もわかっていると思ったのでしょう。『なぜ死にたいの』と聞くと、『FXで失敗したから』というケースも屡々ありました。FXで失敗すると自己破産ができないと思い込んでいる方が多いので、そういう時は、まず弁護士などに相談するようにアドバイスしています」

週刊新潮WEB取材班

2021年1月25日掲載

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