不貞の妻が証言「スマホ不倫」偽装工作の実態 夫にバレないスゴ技、「ラブホ合コン」に励む猛者も

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年下の「王子様」

 妻たちがスマホ不倫に走るのは、「夫から女として認められなくなったのが寂しい」という理由が多い。こうした傾向は、特に、子育てが一段落した女ざかりの40代妻に顕著に見られる。

 都内近郊に住むロングヘアで色白のかおりさん(45)=仮名=は、大人の色気を漂わせるが、メーカーで営業部長を務める夫(50)とは5年前からセックスレスだ。夫は接待や飲み会で連日のように帰宅が遅い。かおりさんは高校生と中学生の2女の子育てをしながら派遣で医療事務の仕事に就いている。寂しさを感じるときもあるが、女友達に恵まれ、女子会では夫の悪口や子育ての悩みを打ち明けあってきた。とはいえ、夫とのセックスレスについて話すことはなかった。

 ところが、

「ある日の女子会で、酔った勢いも手伝ってか友達の一人が、“出会い系アプリで出会った男性とデートをしている”と告白したんです。女子会メンバーは一様に驚きましたが、別の一人も“私もやっている”と。二人とも性的な関係は持たず、食事をしながら話すだけと言っていましたが、とても信じられませんでした」

 かおりさんは友情を重んじて、それ以上、追及することはなかった。ただ、

「そのうちの一人と帰宅する方向が一緒だったので、電車で恐る恐る“アプリ”のことを尋ねたんです。彼女は“ワクワクメール”と“ハッピーメール”を使っていると話していました」

 出会い系アプリのプロフィール写真は、ほとんどが後ろ姿なので身元がバレないという。また、会員登録には身分証明書が必要だが、プロフィール欄に若くサバを読んだ年齢を掲載しても、アプリの運営側から警告などは一切ない。

「サバを読んだほうが男性からの申し込みが多いけど、でも、嘘をつき通すのが面倒くさくなる」と、女友達はひそひそ囁いた。

 かおりさんはその夜、眠れなかった。スマホのアプリには、新しい出会いと未知の世界が待ち受けているような気がした。夫が隣のベッドでうっすらとアルコール臭を漂わせて寝ていた。最近は洗濯物のワイシャツに香水の残り香が染みついていることも増えた。明日も明後日も、飲み会が入っている夫。妻の気持ちなど知りもせず、自分から知りたいとも思わないだろう。

 その瞬間、かおりさんのスイッチが入った。

「翌日、仕事が終わってから、ワクワクメールとハッピーメールに登録しました。ひとつは女友達がいう“年齢サバ読み”、もう片方は実年齢で勝負です」

 5歳若く設定したところ20通以上の申し込みがあったが、夫よりも年上の50代以上の男性が多く、なかには70代の男性もいた。

 一方、実年齢で「大人のお付き合いをしたい」と条件に記すと、意外にも、年下男性から30通以上の申し込みがあった。

「実年齢で登録したアプリに申し込んでくれた男性のうち5人と食事をしました。実際に会うまで、相手がどんな関係を望んでいるのか全くわかりませんでした」

 だが、そこで出会った7歳年下の内科医の男性に、彼女は「王子様みたい」とときめきを覚えたという。

「彼は韓流ドラマに出てくるような切れ長の目のイケメン。年上女性が大好きだけど、結婚相手は年下に決めているそうです。でも、“年下はわがままだからうまくいかないんです”と哀しそうで。そんな姿を見て愛おしくなりました」

 彼とはワインと温泉巡りという趣味が一致。性の相性もぴったりだ。夫から無視されてきた日々を、アプリで知り合った“王子様”が埋め合わせている。

コロナ禍で「ラブホ合コン」

 一方、富裕層の妻もSNSを駆使して不倫をしている。ただし、不特定多数が利用するアプリはリスクが高いため決して使わない。“秘密結社”のように、限られた人たちだけとシークレットな時間と空間を共有するのだ。

 東京・港区に住む貴子さん(48)=仮名=は栗色に染めたショートカットで、くびれたウエストとシャープな小顔が目を引く美人。3歳年上の夫は、外資系企業に勤務して年収は5千万円を超える。エスカレーター式のお嬢様学校に進学し、卒業後に見合いで結婚。ヨーロッパのブランド服と、高級な宝飾品を身に着ける貴子さんは、セレブ妻特有のオーラで周囲を圧倒し、「女ボス」の風格が漂う。

 彼女のやり方はこうだ。

「まず、毎日通うスポーツクラブで不倫願望のある男女とお友達になるんです。そして不倫グループを作って、都内のホテルや高級料理店で合コンをするの。そこで出会った男女がそれぞれの場所(ホテル)に移って、情事にふけるってことよ」

 貴子さんは自ら選んだメンバーでグループラインを作り、不倫中の彼氏を必ず入れる。メンバーは4人から最大8人程度。男女半々の時もあれば、女性が少ない場合もある。グループラインのやりとりは集合場所と時間を確認しあうだけ。単なる食事会を装うためで、「もし配偶者にスマホを覗かれてもバレることはない」と用意周到だ。だが、

「一度、夫から“どうして毎日スポーツクラブに通うの?”と尋ねられた時はヒヤッとしましたね」

 貴子さんはとっさに、ひとり息子が独立して家を出たので寂しくなった、健康と美容のために体を鍛えていると嘘をついた。夫は簡単に納得したという。

「料理の腕前はプロ級。家事は完璧にこなしています」という貴子さんは、コロナ禍でも「ラブホ合コン」という新境地を切り開いた。

「“ステイホーム”期間が終わると、男女8人ぐらいで都内近郊のラブホで合コンしました。大きな部屋と、普通サイズの部屋を三つ、6時間のステイプランで予約します。初めに大きな部屋に全員が集まり、飲食やカラオケを楽しんでから、あらかじめ意向を確認しておいたカップルに分かれて、別々の部屋に向かってもらう。ラブホ合コンがコロナのストレスを発散する場になりました」

 だが、“女ボス”の貴子さんは常に虚しいと呟く。

「若い頃、親の反対で好きな人と結婚できなくて、息子が独立するとやることがなくなってしまった。だから、老いがやってくるまでエロスに溺れるのが私の生きがいです」

 スマホ不倫に走る妻たちの事情はそれぞれだ。

 では、もし妻の不倫を知ってしまった時、夫はどう対処すればよいのか。

 まず大事なのは問い詰めないことである。前述の柿崎さんのように、感情的になって詰問すると妻が逆ギレする場合が多い。

 そして、「離婚しない」、「別居か離婚する」、「どちらともいえない」という三つの選択肢を熟考して、事前に専門家に相談することをお勧めする。もし関係修復を望むのなら、妻の友達などに情報を提供してもらい、妻との話し合いに臨むのもよいだろう。また、「前向きな別居」を選ぶのも冷静さを取り戻す方法である。

 スマホの登場で出会いの場は一層増えた。だがその分、事件・事故に巻き込まれるリスクや、家庭崩壊の危機も激増しているということを忘れてはならない。

夏目かをる(なつめかをる)
秋田県生まれ。立教大学文学部日本文学科卒。小説家、コラムニスト、ライター。女性の恋愛、婚活、結婚、夫婦問題など幅広く取材。書籍「英語でリッチ!」で第12回ライターズネットワーク大賞受賞。恋愛小説「「眠れない夜」(https://wome.jp/articles/1578)など。10万人に一人の難病を克服。

週刊新潮 2021年1月14日号掲載

特集「夫は知らない! 不貞の妻たちが証言『スマホ不倫』偽装工作の実態」より

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