読売新聞が「東京ドーム」の大株主へ 読売側のメリットは?

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過去に「ホーム球場移転構想」が

 昨年11月30日から今年1月18日にかけて、「三井不動産」が東京ドームに対するTOBを実施中だ。総額1205億円を投じ、完全子会社化を図ったのちに「読売新聞グループ本社」に20%の株式を譲渡する計画だが、TOBが成立した場合、読売側が得る利益とは。(「週刊新潮」2020年12月31日・2021年1月7日号掲載)

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 2004年頃から、巨人軍はホーム球場を東京ドームから移そうとしており、川崎市にある2軍の本拠地“読売ジャイアンツ球場”や築地市場の跡地を代替地とする案も検討されたという。背景には、前年に起こった“私設応援団事件”という不祥事を招いた企業体質への懸念や、東京ドームから得られるメリットが少ないことがあったという。

 読売新聞幹部によると、

「東京ドームで組まれる巨人戦は例年64試合ですが、20年度の東京ドームの稼働日数は327日。巨人戦は2割にも満たない。年間稼働率が9割の東京ドームでは、巨人関連のイベントを急遽挟み込むのは容易ではありません。20年の“シーズン感謝祭”も両国国技館での開催でしたし、日本シリーズは都市対抗野球の日程が組まれていたため、巨人軍のホームゲームは“京セラドーム大阪”で行わざるを得ませんでした」

 また、自前で球場を持つほかの多くの球団がチケット、グッズ、広告などで多角的に儲けるシステムを持っていたのに対し、それができない巨人軍は方針転換が求められているという事情もあったという。

 今回のTOBが成立すれば、読売新聞は20%の東京ドームの株式を手に入れることになる。20%を保有すると、“持ち分法適用会社”となり、東京ドームの純利益の20%を読売新聞の決算に反映できるため、新聞離れで落ち込んだ本業の儲けを補うことができるようになる。

 有料版では十数年に及ぶ「球場移転構想」の内実、TOBに絡む香港の投資ファンドの存在などについて詳報する。

2021年1月15日掲載

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