「桃井かおり」が語り尽くす LAの「ロックダウン生活」と「俳優の自死」

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「俳優を辞めたら生きていけない」

 俳優って、俳優を辞めたら生きていけないってどっかで思っているわけ。今まで激流を必死に泳いでいた人が、突然陸(おか)に上げられて、水に濡れた寒い体で独り人生を考えていたら危ないでしょ。

 私は必死に泳ぐ生活から逃げてLAへ来た。こうして陸に上げられることには慣れていました。それでも参るくらいだから、最前線で泳ぐ生活をしていた人たちにとっては恐怖だと思う。

 今の生活で一番私の支えになっているのは旦那さんですね。パンデミックで夫婦がずっと一緒にいることで別れてしまった方もいるけど、私は真逆。愛おしさが増して、もう二羽のつがいみたいな感じ。2人だけで支え合っています。

 パンデミックになって、かえって絆を確かめられました。昨日も庭で秋刀魚なんて焼いちゃって。もう2人で楽しんでる。今はご飯を作ることしか頑張ることがないの(笑)ここでご飯を頑張らないとしぼんじゃうでしょ。

 旦那さんはロンドンにいた人だから、ロンドンのパブの料理を作ってみたり、「チャイナタウンの麺が食べたいな」ってなったら、ロンドン風の卵麺で香港っぽいラーメンを作ってみたり。お寿司なんかも立派に自分で握るようになりました。おいしいお刺身はお寿司屋の元締めから買って、握り方は前にお寿司屋の娘の役をやった時に学んだんですよ(笑)。役者は何にだってなれるんです。

旦那が大好き

 Instagramでご飯の写真をアップしているんですけど、それは明日のご飯何にしようって悩んでる主婦たちと繋がりたいっていう思いもあるからなんです。欲求不満にならないようにご飯を作るのって、大事なことだけどすごく大変なこと。今は完全に友達や仕事から離されている状態だから、誰かとつながってないと孤独を感じてしまう。そういう主婦とインスタを通じて「協力しあって頑張って作ろうぜ!」って繋がりたいんです。

 コロナを機に、色々なことを自分たちだけでやってみたり、今までしてこなかったことをやるようになりました。最初は、家の中を全部片付けたりした。断捨離ね。屋根や暖炉の修理も、今まで手を付けてこなかったけど、これを機に全部済ませちゃいました。

 本当に、全てのことを自分たちでやらなくてはいけない環境になってます。今はもう旦那さんと2人で、鳥のつがいのようになって過ごしてる。熟年結婚で、お互い1人でも生きていけるような人生設計ができていたから、もちろん相手が抱えて生きてきたことも全部抱きしめなきゃいけないけども、でも楽な結婚生活。

 そこは年齢を重ねてからの結婚のいいところだなって思うけど、むしろ彼とはもっと長く一緒にいたかったなって思いもあって。幼い頃からの知り合いだから、もっと早くから結婚して、役者は続けてないかもしれないけど子どもがいっぱいいる生活もよかったのかな、なんて。

 いやいや、やっぱり年を重ねてから出会ったからよかったのかな。とにかく、旦那さんのことがますます大好きになってよかった。

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