「噛み合わせ」のズレが歯周病、認知症の原因に 自宅でできるセルフ「骨格矯正」とは

ライフ 週刊新潮 2020年12月3日号掲載

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 それ自体が苦痛をもたらすわけではない。だが「噛み合わせ」が悪いと、影響は口の中に止(とど)まらない。それどころか、全身に不調をきたし、認知症や誤嚥性肺炎まで引き起こすのだ。では、どうやって直すか。実は、家にいながら少しの努力で矯正できるのである。

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 最近、「噛み合わせ」に対して、世の中の関心が非常に高まっています。その理由は、噛み合わせが悪いと、からだに重大な不調を招くからです。

 もちろん、あごを動かすと痛い、口が開かない、開けるときに引っかかる、といった顎(がく)関節症の症状にもつながります。しかし、その影響は口の周囲だけに止まりません。たとえば、耳鳴りや難聴、めまい、肩こり、腰痛といった全身の不調にも、噛み合わせは大きく影響します。

 そればかりか歯周病の原因になり、ひいては糖尿病やアルツハイマー型認知症、誤嚥性肺炎にまでつながっていくのです。

 まず、そのメカニズムを説明しましょう。

 噛み合わせが悪くなる主な原因は、姿勢の悪さや生活習慣のせいで引き起こされる、猫背や左右の骨格バランスの狂いです。特にデスクワークの姿勢は、噛み合わせの悪化に直結します。猫背がちになって顔が下向きになると、下あごにストレスが加わります。その結果、頭蓋骨や下あごにズレが生じ、噛み合わせが狂ってしまうのです。

 続いて、精神的なストレスもいけません。ストレスが溜まっていると、歯を食いしばりがちです。すると、顎関節にダメージが加わり、顎関節症の大きな原因になってしまいます。

 いま二つの原因を挙げましたが、どちらにしても噛み合わせの悪化は、骨格がズレるところから始まります。頭蓋骨自体に左右の差が生まれ、下がってしまった側のほお骨が、上あごを押し下げてしまいます。その結果、下がった側は奥歯の当たりがキツくなり、当たりがキツいほうの下あごが、さらにズレていってしまうのです。

 多くの人の場合、左のほお骨が下がり、左側は噛んだ奥歯が強く当たるために、下あごが右方向に押されてズレています。

 こうなると、当たりが強いほうのあごの筋肉(咬筋)がこって、食いしばりの原因になります。そして強く食いしばる状態が続くと、骨格のズレがさらに大きくなる、という悪循環に陥ってしまいます。

 姿勢の悪さが噛み合わせに影響を与える、ということからもわかると思いますが、噛むという動作は、単に上下の歯を噛み合わせるだけではありません。

 たとえば下あごは顎関節とつながっているうえ、複数の筋肉に支えられています。だから、噛み合わせが悪いと、周囲の骨や筋肉にかかる力のバランスが崩れ、難聴やめまい、肩こり、腰痛などにつながります。

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