日本語の使用制限、徴用工・慰安婦問題での「反韓行為」は犯罪に…ソウルの「反日条例」

国際 韓国・北朝鮮

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左翼政治家が組織的に

 度重なる政策の失敗、同僚の不正、支持率下落……。任期満了まで1年5か月となった文在寅政権に吹くアゲンストの風は2020年、いや増しに強まった。

 大統領の同僚が起こしたセクハラ・スキャンダルに伴って、2021年4月に予定されるソウル市と釜山市の市長補欠選挙で、与党は惨敗が予想されている。

 次期政権が保守党に移ると、文大統領をはじめとする現政権の実力者は職権乱用と各種の不正疑惑で検察から取り調べを受けるのは不可避とみられている。

 文大統領は「検察改革」の名目で、政治性向を共にする官僚を検察高位職に就任させたが、次期大統領の有力候補である尹錫烈(ユン・ソクヨル)検事総長に懲戒処分を下したことから、尹前総長を支持する検事らは烈火のごとく怒り、文大統領を召喚する日を指折り数えて待っているという。

 李明博(イ・ミョンバク)元大統領や朴槿恵(パク・クネ)前大統領を敵視した文大統領が、同じように痛い目に遭う。それは韓国政界で繰り返されてきた絵図ではあるのだが……。

 文大統領は菅義偉首相の就任後に対話を要請するなど、反日政策徹底主義からの宗旨替えをするのでは?といった見方がないわけではないが、どうも従前のスタンスは変わらないようだ。

 実際、左派の反日活動は、韓国各地で組織的に行われている。

 文大統領の最側近で、今年7月に秘書に対するセクハラ疑惑で自殺した朴元淳(パク・ウォンスン)はソウル市長を6年に亘って務めたわけだが、当のソウル市で、12月17日、奇想天外な条例案が市議会を通過した。

 その名も「親日反民族行為清算支援に関する条例」と言って、日本帝国主義侵略及び統治に協調・同調した過去を反省し、同じ歴史を繰り返さないという名目なのだが……。

「反日種族主義」の執筆は犯罪行為?

 条例を通過させた市議会は、市内の学校に残っている「班長」「当番」「朝会」など日本語の使用を是正し、歪曲された日本の歴史観を正す教育を実施すると説明。

 また、日本帝国主義を擁護し、いわゆる元朝鮮人徴用工や従軍慰安婦問題について韓国の主張と異なる歴史解釈や学術活動を“犯罪行為”と規定し、これを阻止すると明らかにした。

 今後、ソウル市内の学校で「班長」を何と呼ぶのか知らないが、文大統領が好む北朝鮮も「班長」という語を使っている。

 韓国の学校は、「当番」や「朝会」をはじめ、日本から輸入した漢字語を相当数使っており、「関数」や「方程式」「分数」などの数学用語や「形容詞」「動詞」「主語」など、日本に由来し、定着している語をどう扱うのだろうか。

 政権与党・共に民主党は、学校と法曹界で日本式単語を廃止する法案を発議し、国会でも議論されている。

 今回の「ソウル条例」はその嚆矢となるものであり、一方で、それらの単語が日本帝国主義や親日派とどういう関係があるのか韓国人の間からも疑問の声が上がっている。

 さらに、ソウル市議会の今回の条例が施行されると、韓国が主張する歴史観に異を唱え、日本の立場を理解しようとする歴史解釈や学術活動は、犯罪行為になりかねない。

 たとえば、『反日種族主義』をはじめとする韓国人の反日思想を批判する図書の出版を禁止し、執筆者を処罰することすら可能になる。

「表現の自由」がソウル市民に与えられないことになるのである。

 ソウル市議会は今年9月、“親日反民族行為の清算特別委員会”を創設し、今回の反日条例案を準備してきた。

 同委員会に所属する政権与党の政治家は、「日本は植民地支配と慰安婦や強制徴用など侵奪行為に対する真の謝罪と賠償どころか、予定されていた2020東京オリンピックで旭日旗や旭日旗を表現したユニフォームの使用を許容するなど、反倫理的な歴史を商品化しようとする不純な意図を表している」とメディアに話していた。

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