マニュエル・タルディッツが日本で見つけた飲食店 美味しいNIPPON

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 好きな飲食店や好物の話を聞けば、その人の人となりが解るというもの。ゆえに「名は体を表す」ならぬ、「食は体を表す」なのである 。この企画では、外国籍の著名人の方々にご登場頂き、行きつけのお店をご紹介してもらいます! 意外なお店のチョイスに驚くこと必至! 彼らの食に対する感性と経験が垣間見えちゃうんです。第69回は、マニュエル・タルディッツさん。今回は「カフェ・ド・ラぺ」に伺いました!!

 地下鉄「乃木坂」駅を出て少し歩くと、小さな路地がある。コンクリートと石畳と板塀が混在した道の左手の、樹々に隠れて中がよく見えないながらも、ヨーロッパの雰囲気は十分に感じられるカフェの名は「カフェ・ド・ラぺ」。フランスはパリ出身の建築家、マニュエル・タルディッツさんお気に入りのカフェである。

 建築設計事務所「みかんぐみ」は、住宅や学校はもとより、NHK長野放送会館、2005年の「愛・地球博」におけるトヨタグループ館、フランス・ドイツ共同館など、数々の建築物を手掛けてきた。4人のメンバーのうち、唯一の外国人であるタルディッツさんが来日したのは1985年のこと。

「私がまだ東大の大学院生だった頃に、おなじく建築を学んでいた妻と出会いました。それで、〈みかんぐみ〉の前身となる事務所を二人で作ることになったんですよ」

 そんな甘~い話を聞くのに、「ラぺ」はうってつけ。タルディッツさんも、

「カタい街のなかで、ここは本当にアットホーム。外からはミステリアスなんだけど、雰囲気がいいでしょ? 日本でいう“離れ”に近いですよね。食事をするにしても、場所、環境は絶対に大事ですよ」

 大の甘党で、食後のデザートは欠かさないほどだという。この店でいつも注文するドリンクは「ティオーレグラッセ」すなわちアイスミルクティー。ミルクと紅茶のツートーンが美しい。

「ここには美がある! 美が味にも影響を与えているよ!」

 そうタルディッツさんが興奮するのも無理はない。その興奮は看板メニュー「レアチーズケーキ」の登場でピークに達する。

「まさにこれが私のフェイバリット! 少ししょっぱいレアチーズがサラサラで、甘いジャムと口のなかでミクスチャーされるおもしろさが最高です!」

 チーズケーキと並んで、「シフォンケーキ」も大人気。おいしいケーキに舌鼓を打ちながら、せわしない日常にちょっくらお暇(いとま)する。究極の贅沢かもしれません。

週刊新潮 2020年12月17日号掲載

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