毎日のように尖閣周辺にやってくる中国船 中国の「民間人」に占領される可能性も

国際 中国

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 尖閣諸島の接続水域内における中国公船の航行が、今年に入り通算300日を超え、2012年9月の国有化以降の年間最多日数の更新を続けている。

 そのため、尖閣諸島では海上保安庁と中国公船のにらみ合いが続いている。しかし、尖閣諸島に絡んだ中国の脅威はそれだけではない。「尖閣有事」には、在日中国人と「海上民兵」が投入される可能性があるのだ。

「国防動員法」で在日中国人を動員

 2013年11月24日、在日中国大使館が公式ウェブサイトで在日中国人に対して、緊急事態に備えて緊急時の連絡先を大使館に登録するよう呼びかけ、登録を始めた。

 在日中国大使館側は「重大で突発的な緊急事態が生じたとき」に、在日中国人を支援し、身の安全や利益を守りやすくするためと説明しているが、この背景には、「国防動員法」の存在があるとされる。

 2010年2月26日、第11期全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会第13回会議で「中華人民共和国国防動員法」(国防動員法)が採択された。そして、同年7月1日から施行された。

 国防動員法は、平時および有事における民間資源の徴用に関する法律である。特に有事の際に国家の主権、統一と領土の完全性および安全を守るために、ヒトやモノの動きを統制することを規定している。

 また、中央や地方政府による民間物資の備蓄・徴用や、国民動員の規定が明記されている。つまり、国民を軍の後方支援や社会秩序維持の任務に当たらせることを明文化したのである。

 国防動員法が制定される前に施行された安全保障の基本法である「国防法」(1997年施行)では、緊急時に国が全国レベルに適用する「総動員」と一部地域に限定する「局部動員」を実施できると規定。会社や個人の施設、物資を徴用できるなどとしているが、具体的な手続きなどは明記されていなかった。

 つまり、国家動員法の制定は「国防法」を補完する有事法制整備の一環で、法に基づいた軍の統治を進める狙いがあるのだ。軍の統治といっても、その範囲は極めて広い。

 以下は国防動員法のポイントである。注目点は「中国国外に住む中国人も対象となる」という箇所だ。

・中国国内で有事(戦争や事変、武力衝突、大規模な自然災害など)が発生した時に、全国人民代表大会常務委員会(中国の国会)の決定のもと、動員令が発令される。

・国防義務の対象者は、18~60歳の男性、18~55歳の女性で、中国国外に住む中国人も対象となる。

・個人や組織が持つ物資や生産設備は必要に応じて徴用される。

・交通、金融、マスコミ、医療機関は必要に応じて政府や軍が管理する。また、中国国内に進出している外資系企業もその対象となる。

・国防の義務を履行せず、また、拒否するものは罰金、または刑事責任に問われることもある。

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