毎日のように尖閣周辺にやってくる中国船 中国の「民間人」に占領される可能性も

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平時から尖閣諸島に集まる海上民兵

 福建省の漁業関係者によれば、2016年8月上旬に尖閣諸島周辺に集まった漁船には少なくとも武装した100人以上の「海上民兵」が乗り込んでいたという。(引用元:「産経ニュース」2016年8月20日)

 当然、「尖閣有事」には、彼らは「海上民兵」も投入されるだろう。

 ただし、海上民兵の尖閣諸島周辺での活動福建省や浙江省の港から尖閣諸島近くに向かうには約20時間かかるうえ、大量の燃料を使う。また、日本の海保の巡視船に作業を妨害されることもあるため、敬遠する漁民が多いという。

 中国は尖閣諸島の領有権を強気で主張している。「海上民兵」は軍服を着用しないかぎり「民間人」である。尖閣諸島に接近する「海上民兵」は制服を着用していないようだが、南シナ海で活動する「海上民兵」は制服(戦闘服)を着用している。

 海上民兵が制服を着用している事に関しては、海上民兵に「ハーグ陸戦条約」を適用するためと思われる。(ハーグ陸戦条約では、交戦者の定義や、宣戦布告、戦闘員・非戦闘員の定義、捕虜・傷病者の扱い、使用してはならない戦術、降服・休戦などが規定されている)

 戦闘は「交戦者の資格」の条件を満たした者の組織(軍隊)によって行われなければならず、また、万が一戦いに敗れて敵に捕らえられた場合にも「交戦者の資格」の条件を満たさなければ「捕虜としての処遇」を受けることができないためである。

 つまり、南シナ海(南沙諸島周辺)では戦闘が起きることを想定しているのだ。もし、尖閣諸島に接近する「海上民兵」が制服を着用するようになったら、それは日本との戦闘を想定していることを意味する。

 日本国内に居住する中国人が本国で軍事訓練を受けていないとは断言できない。「有事」となったら、軍事訓練を受けている中国人は自衛隊基地・駐屯地や海保の拠点に対して破壊活動を行う可能性がある。

 つまり、日本国内外の「民間人」の活動により、中国軍が動かなくとも、一時的にせよ尖閣諸島を占拠されかねない状態にあるのだ。

竹島の二の舞に

 日本政府は、なぜか尖閣諸島への日本人の上陸を禁止している。しかし、中国の「民間人」が上陸してしまったら、たとえ一時的であっても実効支配の「実績」を作らせてしまうことになる。

 日本は中国公船の領海での航行を阻止するために、海上自衛隊の護衛艦を出動させ、中国公船の進路妨害をしてもいいのではないだろうか。「実績」を作らせてしまうと、韓国に実効支配されている竹島の二の舞になってしまう。

 竹島には平地がなく、ほとんどが急斜面であるため、尖閣諸島と同様にとても人が住める地形ではないのだが、灯台や警備隊員の宿舎(警備隊員<警察官>33人、灯台職員3人が常駐)、ヘリポートなど多数の建造物が韓国によって建設され実効支配されている。

 しかも、「日本固有の領土」と日本政府は主張しているが、竹島上空(日本の領空)を韓国の軍用機に侵犯されても航空自衛隊はスクランブル発進を行わない。領海を侵犯されても海上自衛隊も海上保安庁も対応しない。航空自衛隊は竹島領空を侵犯された時間を計測し、外交ルートで韓国へ抗議することしかしていない。

 いくら「日本固有の領土」と主張しても、実力を行使しなければ実効支配されてしまう。中国は、尖閣諸島を第二の竹島とすることを目論んでいるのかもしれない。日本は竹島の教訓を尖閣諸島の防衛に生かさなければならないのだ。

宮田敦司/北朝鮮・中国問題研究家

週刊新潮WEB取材班編集

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