草津町長からの性被害を訴えた女性町議が住民投票で失職 欧米メディアの報じ方は?

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町長は反論

 群馬県草津町の黒岩信忠町長(73)に対し、元町議の新井祥子氏(51)が性被害を訴えた問題で、黒岩町長は12月14日、東京・丸の内の外国特派員協会で会見を行った。そして、新井氏の主張を「100%ウソの作り話で、でっちあげです」と全面否定した。

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 この草津町の“騒動”に対し、欧米のメディアが「#MeToo運動」と結びつけ、厳しい論調で報道している。

 その詳細は後述するとして、まずはこれまでの経緯を改めて振り返ろう。2019年11月21日、読売新聞は「草津町長が町議ら告訴へ 名誉毀損 電子書籍に『虚偽情報』」と報じた。

 男性ライターが執筆した電子書籍「草津温泉漆黒の闇5」に、新井町議の告発として15年1月、町長室で町長から性被害を受けたとの記述があったのだ。

 黒岩町長は読売新聞の取材に対し、当時は町議だった新井氏と、男性ライターを名誉毀損の疑いで告訴することを明らかにした。

 一方の新井氏は11月29日に記者会見を開き、電子書籍の内容は「全て事実で、町長は辞職してほしい」と訴えた。

 草津町議会は12月2日、新井氏を除名処分に。更に6日には、新井氏の主張に理解を示し、黒岩町長の不信任決議案を提出した男性町議に陳謝処分を下した。また群馬県警は3日、町長の告訴を受理した。

日本人の典型的な反応

 これに対して新井氏は9日、群馬県の山本一太知事(62)に除名処分の取消を求める審査を申し立てた。

 黒岩町長は16日、電子書籍の出版に関わった新井氏、男性著者など3人に対して、総額4400万円の損害賠償などを求めて前橋地裁に提訴した。

 今年2月12日、群馬県は新井氏の除名処分を一時的に停止することを明らかにした。これにより新井氏は町議に復帰した。

 ところが9月14日、町議9人を含む町民19人が新井氏の失職請求(リコール)を求めて草津町選挙管理委員会に提出した請求代表者証明書が認められ、署名活動が行われることに。有権者の3分の1以上の署名が集まり、12月6日には住民投票が実施された。当日有権者数は5283人で、投票率は53・66%。リコールに賛成が2542票、反対が208票となり、新井氏の失職が決まった。

 この騒動をニューヨーク・タイムズ(電子版)が報じたのは12月9日。見出しは「彼女が町長からの性被害を告発すると、町民は彼女に激昂した」というものだった。

 記事では住民投票で新井氏の失職が決まったことを伝え、《日本で性被害を訴えた女性が直面する困難を浮き彫りにしている》と指摘。千葉大学の女性法学者に取材し、《日本における、女性の性被害者に対する典型的な反応》というコメントも紹介した。

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