吉村知事「トリアージ発言」の波紋 米国はガイドラインを作成、日本ではまず無理?

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菅政権の危機!?

 記事ではアラバマ州の保健局が公式サイトに発表したトリアージ計画の文書が紹介されている。「重度の精神遅滞のある人」は人工呼吸器のサポートを受ける対象にならない可能性を示唆しているという。これを合理的な判断規準と受け止めるか、障害者に対する差別と見なすか、日本でも世論は割れそうだ。

「結局、多くの州が採用したのが、年齢や基礎疾患、残された寿命といった要素を数値化し、厳正な評価システムを構築する方法でした。それによって治療する患者の優先順位を決めるわけです。背景の1つにアメリカが訴訟社会であることが挙げられます。透明かつ公平なルールに従ってトリアージを行わないと、遺族に巨額の賠償金を要求されかねないからです」(同・ジャーナリスト)

 このままのペースで感染拡大が続けば、日本の医療現場でもトリアージの必要が生じる可能性はある。

「その場合、ガイドラインを作成すべきは都道府県ではなく国、つまり菅政権でしょう。しかし日本人の国民性を考えると、ガイドラインを作成しても、作成を拒否しても、どちらも有権者から批判されそうです。逃げの一手を決めた場合はリーダーシップの欠如を指摘され、内閣支持率が下がるかもしれません。いずれにせよ、わが国の指導者は第2次大戦以来の究極の選択を迫られます」(同)

ウルトラCの解決法がある?

 週刊新潮が11月20日号に掲載した記事を元に、デイリー新潮は11月14日、「コロナを5類感染症に引き下げるべきか 専門家の意見は」の記事を配信している。

 現在、新型コロナは「指定感染症」の2類に分類されており、結核やSARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)などと同じ対処が求められている。

 ところが、これを5類に変更すれば、季節性インフルエンザと同じ扱いになる。自宅療養が可能となり、医療崩壊が防止できるのだ。

 万が一の場合、国で“命を選別する”ガイドラインを作成し、2類指定を維持する。

 もしくは、ガイドラインの必要がなくなる5類に指定を変えてしまう──どちらにするか、国民1人1人がよく考えるべきなのかもしれない。

週刊新潮WEB取材班

2020年12月4日掲載

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