世のトランプ支持者は落ち着きましょう 不正の証拠はなく、数万の票数を覆せるかは疑問符(KAZUYA)

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 これほどまでに注目されたアメリカ大統領選挙が今まであったでしょうか?

 共和党の現職トランプ氏と民主党のバイデン氏が争った大統領選挙は、遠く日本でも大きな話題になりました。

 確かに日本とアメリカの関係は重要です。日本の外交戦略は日米同盟を基軸としたものですし、世界一の超大国の動向は世界情勢を大きく左右します。

 話題の中心は常にトランプ氏でした。この4年で大減税、規制緩和、パリ協定からの離脱など2016年の大統領選挙で掲げていた政策を実現させました。

 台頭する中国を抑え込むために貿易面で対立、さらに台湾との関係を深めています。個人的にはトランプ氏の再選を願っていましたが、執筆時点でバイデン氏に当確がついてしまいました。

 通常だと敗者は負けを認めて相手を称えます。しかし型破りなトランプ氏は「不正選挙」を主張して法廷闘争に持ち込む構えです。

 今回は新型コロナの影響もあって、郵便投票が多くなっています。開票に当たっては多少のミスや不正はあったのかもしれませんが、ネットを見ると陰謀論など真偽不明の情報が氾濫しています。これらのネット情報を頼りに、日本人のトランプ支持者も再選を信じて活発に発信をしている様子です。

 しかし私たちは日本人ですし、結果を左右できるわけではありません。それでも一部が熱狂し、バイデン氏に祝意を寄せた菅義偉首相を攻撃したりしています。要は「まだ決まってはいない」という話で、それはそうなのですが、先のことを見据えて考えると早期に祝意を示すのは当然のことでしょう。もちろんトランプ氏が逆転する可能性もあります。しかし現時点でそこに全賭けすることはできません。

 トランプ氏が不正を示す証拠を早めに出せばいいのですが、現状は明確なものがありません。

「裁判まで証拠は出さないに決まっているだろ」との意見もありますが、現実問題として起こした提訴が複数州で却下されています。明確な証拠を示すことができないからでしょう。

 トランプ氏が再選されるには複数の州でバイデン氏の勝利をひっくり返す必要があります。数千程度の票差ならひっくり返る可能性も考えられますが、さすがに数万の差となると厳しいと言わざるを得ません。不正やミスが明らかになったとしても大勢が変わるほどかと考えると疑問です。

 今回書いたことはTwitterでも論じたのですが、トランプ支持者からは熱烈な批判が寄せられました。「異端は異教よりも憎し」でトランプ支持者なのにトランプ支持者に叩かれる状態です。トランプ氏再選を願う気持ちはわかりますが、少し冷静になるべきです。

 しかし「不正選挙が暴かれてトランプ逆転」を信じている人は相当数いる様子で……YouTubeでもそういった動画が再生数を伸ばしています。

 正直、不正選挙だと煽りまくった方が動画も再生されるのが今のYouTubeの流れなのですが、ちょっとそれはできないので提訴の結果を待ちたいと思います。

KAZUYA
1988年生まれ、北海道出身。2012年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設し、政治や安全保障に関する話題をほぼ毎日投稿。チャンネル登録者73万人、総視聴数は1億4千万回を超える。近著に『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』(KKベストセラーズ)

週刊新潮 2020年11月26日号掲載

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