劇薬がなければ変化も生まれず……メキシコ戦は森保監督の理想を追求する交代策で自滅

スポーツ 2020年11月21日掲載

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決定機すら作れず

 オーストリアへ遠征中の日本代表は18日(現地時間17日)にグラーツでメキシコと対戦し、0-2で敗れた。これで森保ジャパンの2020年の戦績は2勝1分け1敗となった。

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 試合後のことである。メキシコのヘラルド・マルティーノ監督(57)に日本の記者が質問した。

「メキシコ・リーグでプレーしている選手が多いが、ヨーロッパに行かなくても代表チームが強い理由は?」

 たぶん記者の頭には、「レベルの高い選手=ヨーロッパでプレー」という図式があったのだろう。

 それに対しマルティノ監督は「答は簡単。メキシコの上位チームは競争が激しく代表レベルにある。元々ヨーロッパでプレーする選手は少なく、50%は国内でプレーしている」というものだった。

 さらに付け加えるなら、メキシコ・リーグはギャラも高い。ヨーロッパのビッグクラブでプレーするのは1つのステイタスであるが、それは高額なギャラとリンクしている。プロである以上、高額なギャラを提示したクラブでプレーするのは当然のことだ。

 ヨーロッパのビッグクラブでプレーしている選手が少ないからといって見下したわけではないだろうが、森保一監督(52)は「勝つ采配」ではなく、「理想を追求」する交代策で自滅した。W杯ベスト16の常連でもあるメキシコは、強いというより“したたか”で、相変わらずの試合巧者だった。

チャンスを逃した日本

 ただ、テストマッチでメキシコに勝利したからといって、それが2022年カタールW杯のベスト16を約束するものではないし、“ロストフの悲劇”を払拭できたと断言できるものでもない。個人的には、日本の課題は継続されたままであることを確認できたメキシコ戦だった。

 戦い慣れた4-2-3-1でスタートした日本。13日のパナマ戦からスタメンを9人も入れ替えたが、ダブルボランチに柴崎岳(28)[CDレガネス]と遠藤航(27)[シュツットガルト]を組ませ、1トップには大迫勇也(30)[ヴェルダー・ブレーメン]の代役として鈴木武蔵(26)[ベールスホット]を起用し、トップ下にはパナマ戦で好プレーを見せた鎌田大地(24)[フランクフルト]を抜擢するなど現時点でのベストメンバーと言えた。

 プレスの応酬となった開始10分を過ぎると、日本は原口元気(29)[ハノーファー]のミドル(12分)からチャンスをつかむと、15分には鈴木と伊東純也(27)[ヘンク]が立て続けに決定的なシュートを放つ。どちらかが決まっていれば逆の結果もありえたかもしれないが、日本は千載一遇のチャンスを逃してしまった。

 メキシコは4-3-3の布陣でスタートしたが、逆三角形の中盤はアンカーにルイス・ロモ(25)[クルス・アスル]を置く4-1-4-1に近い形にもなる。このロモのサイドのスペースを柴崎と遠藤は適度な距離を保ちながら利用したのが前半の日本だった。

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