劇薬がなければ変化も生まれず……メキシコ戦は森保監督の理想を追求する交代策で自滅

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メダルなど夢物語

 かねてより森保監督は、選手交代の拙さを指摘されてきた。起用された選手個人のパフォーマンスにも問題があると思っていたが、似たようなタイプの選手が同じポジションに入るようでは変化も生まれにくい。いわゆる“劇薬”となるような選手交代がないのもそれが理由だろう。

「では他に、誰が代表選手にふさわしいのか?」と質問されても、正直、即答に困ってしまう。ただ、監督が替われば起用する選手も変わるかもしれない。

 かつてのハビエル・アギーレ監督(61)がそうだったように。残念ながらそんな時間的な余裕はないだろうし、そこまで逼迫しているわけでもないのが逆にもどかしいところでもある。

 とりあえず日本代表の年内の活動は終わった。12月にフランスで予定されていた大会に五輪代表は参加しないことも決まっている。

 年明けの活動は3月のW杯2次予選からとなるが、A代表より気になるのが五輪代表である。

 何人かの選手はA代表と掛け持ちしているが、それがチームの強化につながるとは到底思えない。

 どこの国もコロナの影響で五輪代表の強化まで手が回っていないかもしれないが、今年1月のU-23アジア選手権で日本は強化の遅れを露呈してグループリーグで敗退した。それだけに巻き返しを図らないと、メダルなど夢物語に終わりかねない。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年11月21日掲載

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