“大麻ツイート”をやめた理由をお話します……高樹沙耶が石垣島で語ったホンネ
逮捕以来、大麻を吸ったことは一度もありません
だが、高樹が声高に訴えれば訴えるほど、世間は彼女に対して奇異な目を向けてきた現実がある。なぜ彼女は、そこまで大麻にこだわるのか。自分が吸いたいから解禁を訴えているのではないか。
そもそも逮捕以降、大麻を吸っていないのか。そう聞くと、
「あるわけないじゃないですか。さすがに、当局に監視されていることくらいわかっています」
と一笑に付し、
「誤解されていますが、私が吸いたいというのがモチベーションじゃないんです。私の父親は認知症になっちゃったけど、そんな風に年老いて苦しんでいる人たちに、大麻で元気になって欲しい。腰が曲がっちゃって、リウマチや神経痛に苦しんでいるおじいちゃんおばあちゃんに、大麻を使わせて楽をさせてあげたいって。自分のためなんかじゃない。社会のためだと思って声をあげてきたんです。もちろん、今後老いていく自分のためにもなるわけですが」
政界へ立候補しながらも、社会のルールを破り逮捕された立場の人間に、今のような活動する資格はあるかという批判については、
「むしろ私は、一度逮捕されたからこそ、堂々と経験者として真実を伝えやすい立場にあると思うのです。大麻の法改正運動に加わると決めたときから、死ぬ気でやらないといけないとは思っていましたので、批判は覚悟のうえです」
と、かたくなに持論を曲げないのである。
藤井風の「帰ろう」を聴いて、気づいた自分の姿
だが最近になって、闘い続けることに疲れ果ててしまったという。
「著名人で、ここまで声高に叫び続けているのは、私くらいじゃないですか。でも、いくら発信し続けても、わかってくれない。国が“ダメ、絶対ダメ”としている以上、メディアもそれに倣うし、進まないんだって気づいたとき、もう矢面に立ちたくないって思うようになってしまって」
批判コメントを見るのも嫌になった。
「バカだの、死ねだのババアとか、“吸いたいだけだろう”とか、相当なことを言われ続けてきましたからね。そりゃネットという世界がそういうものだとわかっていたとしても、傷つきますよ。実は最近は、わざと炎上させるような過激なツイートを意識して書き込んでいました。すぐにスポーツ紙が面白がってネットで記事にするじゃないですか。“あ、また話題になった”って喜んでいたんですが、一方でアンチは盛り上がって」
ムキになっていた自分がいた、と素直に認める。
「なんでこの人たちはわからないんだろうって。ちょっと見識を広げようと意識するだけで、わかることだと思うのです。外国に旅行にいけば、現実を目の当たりにできるし、日本にいたって、ネットを検索すれば情報が溢れています。先入観に囚われ、簡単なトライすらできない、かわいそうな人たちって思っていて」
そんな感情を抑えきれない自分と向き合うのも、いつしかストレスになっていたという。そしてあるとき、自分のこだわりが「くだらなく思えた」出来事があったという。それはYouTubeで見つけた、ある曲を聴いていた時であった。
「藤井風さんの『帰ろう』って曲です。あれを聴いていたら、肩の力がすっと抜けてきて……」
藤井風はYouTubeから人気に火がつき、昨年、メジャーデビューした岡山県出身の23歳の男性シンガーソングライターである。今年5月、Billboard Japanでファーストアルバム「HELP EVER HURT NEVER」が1位を獲得。その中に収録されている曲が「帰ろう」である。
《憎しみあいの果てに何が生まれる わたし、わたしが先に忘れよう》
そよ風のような軽快なメロディにそって流れる、このフレーズが身にしみたという。
「強く言い続ければ、いつかはわかってもらえる。そう信じ続けてきた自分が愚直すぎたんだって気づいたんです。わかってくれない人はいつまでもわかってくれない。当たり前のことですよね。そんな人たち相手に、心を乱されている自分がバカバカしくなって……。“そうだ、私のほうから忘れたらいいんだ”って思えるようになって。それで、この曲のYouTube動画のURLを添付し、『この場を去ります』ってツイートを残し、発信をやめたんです」
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