「正代」は熊本出身で58年ぶりの大関昇進 横綱や大関になぜ九州出身者が少ない?

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口減らしで力士に

 なぜ、北海道や青森など、北に横綱が多く、南の九州は、1965年以降、一人も出ていないのか。

「昭和になってから、九州と北海道は、相撲が盛んになりました。九州は、観客の層が広く、応援する時の熱気もすごいですよ」(同)

「北海道も盛んで、夏の巡業は北海道と東北をまわります。力士はこの巡業で鍛えて、秋場所にのぞみます」(同)

 どちらも盛んなのに、なぜ、これだけ差がでたのか。

「北海道は、明治時代に開拓が始まり、屯田兵や開拓民が移り住みました。生活が苦しくても、労働力を増やすために、子どもを沢山つくりました。産めよ増やせよですね。長男や次男は開拓に従事させ、3男、4男は口減らしのために次々に相撲部屋に送り込んだのです。それで相撲が盛んになり、力士を目指す人が多くなりました」(同)

 九州はどうか。

「九州は博多商人に代表されるように、裕福な商人が多いので、口減らしの必要がなかった。また、相撲を職業にするという考えはあまりないのです。力士になるのは、特別に能力のある人に限られていました。35代の双葉山は実家が漁師で、小さい頃から船に乗って足腰を鍛えていました。佐田の山は五島出身で実家は大工でした。子どもの頃から材木を運んだり、カンナをかけたりしていたのです」(同)

 正代が横綱になれば、1863(文久3)年の不知火光右衛門以来157年ぶりの熊本出身横綱となる。

週刊新潮WEB取材班

2020年10月12日掲載

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